F2.8通しの明るいズームレンズは、写りがよい代わりに大きくて重い。
持ち出すのが億劫になり、気づけば出番が減っていく。
そんな経験はないでしょうか。
この悩みに答えてくれるのが「TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD」です。
ズーム全域でF2.8を保ちながら、質量はたったの365g。
少し変わった焦点距離ではありますが、広角も標準もこれ一本で賄える、実に絶妙な範囲なのです。
一週間の旅行に持ち出し、風景から旅先での料理、子供の姿まで、この一本で撮ってきました。
実感したのは、軽くて旅行が楽なだけでなく、写りの方もしっかりついてくるということ。
実際に使って感じた良い点、そして気になる点を、作例とともに正直にレビューします。
結論:F2.8通しでありながら365g。旅に連れ出したくなる一本
- ズーム全域でF2.8通し。室内や夜間でもクリアな描写
- たったの365g。持ち出すのが苦にならない軽さ
- 中心から周辺までシャープ。α1の5010万画素にも十分応える描写力
- 20mmから40mmまで。広角も標準も、これ一本で賄える絶妙な範囲
- 広角側では周辺減光やゴーストが出やすいシーンがある。そのぶんを軽さと明るさに振った一本
- 明るいレンズは欲しいけれど、重さで持ち出せなくなるのは避けたい方
- 旅行の荷物を減らしつつ、風景から人物まで撮りたい方
本レビューの作成にあたり、株式会社タムロン様からの「製品の貸与」を受けています。記事内容に関しては特別な指示はいただいておりませんので、正直にレビューしていきます。
スペック

TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD のスペックを把握しておきましょう。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 焦点距離 | 20-40mm |
| ズーム倍率 | 2倍 |
| 開放F値 | F2.8(全域) |
| 最大撮影倍率 | 約0.26倍(広角端)/約0.20倍(望遠端) |
| 長さ | 86.5mm |
| 質量 | 365g |
| フィルター径 | 67mm |
焦点距離は20-40mmで、広角ズームレンズとしては珍しいズーム域です。
超広角20mmはじまりでありながら、望遠側が40mmまであるのは好印象。
全域F2.8通しのレンズとしては、非常に軽量なレンズに仕上がっています。
作例
TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXDで撮影した作例を見ていきましょう。

旅先で出会った、海の風景。
海の青と空の青は、似ているようで違う。
その微妙な色の差をしっかりと描き分けてくれました。
浅瀬から沖へ、場所によって移り変わる海の色。
そのグラデーションの表現も見事です。

室内撮影では、超広角の20mmが活きてきます。
これ以上は下がれない。
そんなシーンでも、被写体をしっかりとフレーム内に収めてくれました。
透明感のある水の質感表現。そして水槽越しに透ける店内の様子まで実にリアル。
20mmという焦点距離だけでは語れない、懐の深い描写力を備えたレンズです。

カフェの天井を撮影した一枚。
等間隔に並ぶ竹が緩やかなウェーブを描き、おしゃれさを感じる内装です。
中心はもちろんのこと、周辺に至るまでシャープな像を結びます。
一本一本の竹の質感までリアルに再現。
軽いレンズとは思えないほど、いい仕事をしてくれます。

旅行でも宿泊先でも、本レンズはしっかりと活躍してくれました。
一般的な広角側が24mmのレンズだと、部屋の全体が思いのほか入りきりません。
しかし、20mmはじまりの本レンズなら、このとおり。
シャドー部からハイライトまでのトーンも滑らかで、繊細な写り。
便利なだけでなく、描写の方もバッチリです。

宿泊した部屋の窓越しに、建物を撮影しました。
撮影した日は、あいにくの雨。
ガラス越しに雨という、撮影条件が厳しいシーンです。
それでも、しっとりとした質感を見事に表現してくれました。
こういう湿度感を出せるレンズは、貴重なんですよね。
絞りは開放のF2.8。開放からしっかり写ってくれます。

お祭りで買ったヨーヨーを片手に持つ、少女。
使用したのは望遠側の40mm。絞りは開放のF2.8です。
周りの雰囲気を残しながら、豊かなボケが得られるので、使い勝手の良い画角だと感じます。
ヨーヨーの艶や、扇風機の立体感。そして浴衣の質感表現が絶妙。
期待以上の写りを魅せてくれます。

本レンズの特徴といえば、軽量でありながらF2.8通しである点。
明るいレンズのおかげで、夜間でもノイズを抑えたクリアな画質が得られます。
一般的なズームレンズであれば、ISO1000を超えてくるシーン。
明るいレンズのおかげでISO320まで抑えることができました。

旅先では、風景だけでなく食事も残しておきたいもの。
望遠側が40mmまであるおかげで、テーブルフォトも撮りやすく感じます。
卵の黄、ネギの緑、紅生姜の赤。
色数の多い一杯ですが、どれも濁ることなく描き分けてくれました。
朝のバイキングですから、決して高価なものではありません。
それを、ここまで美味しそうに写せてしまう。
本当に大したものです。

ラウンジの窓からの景色。
奥に見える航空機は、繊細な描写。
細部までしっかりと解像しています。
27mmのディストーションは若干の樽型傾向。
四隅まで真っ直ぐとはいきませんが、これくらいなら悪目立ちしません。
ズームレンズであることを考えれば、十分に優秀です。

F2.8通しのレンズということで、ボケの質感も気になりますよね。
望遠側40mmで撮影することで、ボケのある一枚を残すことができます。
単焦点レンズほど大きなボケではありません。
しかし、日常のスナップや家族の写真、旅先での思い出作りには十分以上。
ボケ味そのものもクリーミーで、好感が持てます。

機窓からの眺めを写した一枚。
真っ白な雲もハイライトが飛ぶことなく、ふんわりとした質感まで写し止めてくれました。
海と陸地の境もきっちり描き分けられており、繊細な描写だなと感じます。
レンズが小さいぶん、航空機内での取り回しが楽なのも嬉しいポイントです。

自然だけでなく、人工物との相性も抜群。
ハイライトからシャドー部まで、滑らかなトーンで捉えてくれます。
中心に見えるエレベーターシャフトの立体感もお見事。
シャープなだけではない、繊細さを兼ね備えた写り。
こういうレンズは、なかなかに貴重です。
よかった点

TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXDのよかった点を紹介します。
①大口径レンズらしいクリアな描写

レンズを語る上で外せないのは、やはり画質です。
作例のとおり、抜けのよいクリアな描写。
広角側から望遠側まで、本当によく写ります。

上の写真は、作例の一部を切り出したもの。
中心だけでなく、周辺部までしっかりシャープ。
小さくて軽いから写りはイマイチ、なんてことはありません。
α1の5010万画素センサーにも十分に耐えうる、実力を持ったレンズだなと感じました。
②表現を豊かにするF2.8通しの明るさ

本レンズは、ズーム全域でF2.8通しを実現しています。
20mmから40mmまで、どこで使ってもF2.8。
ズームしても暗くならないのは、想像以上に快適です。

特にありがたさを実感するのは、室内や夜間といった暗いシーン。
こういった厳しい条件でも、ノイズを抑えたクリアな描写を見せてくれます。
もしもF4通しであったのなら、暗所用に単焦点をもう一本持ち歩きたくなったでしょう。
小型軽量でありながら、F2.8通しを譲らなかった。
この判断に拍手を送りたい。
③望遠側40mmまでカバー

本レンズは超広角20mmはじまりでありながら、望遠側は標準域の40mmまでをカバーしています。
この「40mmまで」が、本当に使い勝手がよいのです。
超広角ズームは、望遠側が35mm止まりというものが少なくありません。
35mmまでだと、もう少しズームできたらなというシーンが何度もありました。
40mmまでカバーする本レンズでは、その不満をほとんど感じません。
広角も標準も、これ一本で対応できる。
使うほどに、本当によく練られたズーム域だなと感心します。
④小型軽量365g

フルサイズ対応でF2.8通しのレンズでありながら、質量はたったの365g。
このクラスとしては、驚くほど小型軽量に仕上がっています。
上の写真は、α1に装着したもの。
かなりコンパクトにまとまっています。
このサイズは本当に魅力的。
持ち歩きを考えると、小型軽量というのは大変ありがたいものです。
⑤高速なオートフォーカス性能

本レンズは、高速なAFモーターVXDを採用。
非常に高速なオートフォーカスを実現しています。
私はフラッグシップ機のα1を使用していますが、そのAF性能にしっかりとついてきてくれる印象です。
子供の不規則な動きにもAFが食らいつき、ピントを合わせ続けてくれます。
カメラの性能を引き出してくれる、すばらしいAF性能だなと感じました。
⑥フィルター径はタムロンでお馴染みの67mm
本レンズのフィルター径は67mm。
タムロンレンズではお馴染みのサイズが採用されています。
他のタムロンレンズを持っていれば、レンズキャップやフィルターの使い回しができるのは嬉しいポイントです。
一つ一つは小さな出費でも、レンズを買い足すたびに揃えるとなると、それなりの金額になるもの。
統一されたフィルター径は、地味ながら本当にありがたい配慮です。
⑦もしもの時にありがたい簡易防滴

撮影に持ち出すたび、幾度も雨に見舞われました。
そんな時にありがたいのが防滴仕様。
本レンズはレンズ内にシーリングが施されており、水滴の侵入を防いでくれます。
簡易防滴のため、本格的な雨での使用には向いていません。
とはいえ、あるのとないのとでは大違い。
小雨程度であれば、問題なく撮影を続けられました。
ゆゆねこ簡易防滴は、雨の日にありがたい仕様です。ただし完全な防水ではないので、油断禁物。しっかりと対策しておきましょう。
気になる点


TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXDの気になる点を紹介します。
①広角側では周辺減光が大きめ
検討する上で押さえておきたいのが、広角側での周辺減光。
20mm付近で空を大きく入れると、四隅が若干暗くなります。
絞れば改善しますが、完全には解消しません。
ただ、この弱点はカメラ側の機能によってカバーできます。
カメラ側の「周辺光量補正」をON(オート)にしておけばよいのです。
一度ONにしておけば、あとはカメラが自動で補正してくれる。
撮影中に意識する必要はありません。
②広角側ではゴーストが発生するケースがある
太陽などの強い光源をフレーム内に入れると、ゴーストが発生する場合があります。
広角側で出やすく、望遠側では緩和されます。
気になる場合は、光源をフレームから外すか、少し角度を変えて撮ってみましょう。
構図を少しずらすだけで、ゴーストの出方は大きく変わります。



私の撮影では、写真の印象を損ねるほどのゴーストは発生しませんでした。角度を変える等で乗り切れる範囲ですので、極端に気にする必要はないかもしれません。
③ズームリングが軽い
本レンズは、ズームリングの動作が非常に軽い。
動作自体はスムーズですが、重厚感のようなものは感じられません。
感じ方に個人差はあるものの、もう少し重くてもよかったかなと感じました。
外観
TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXDの外観を見ていきましょう。


ツートーンで構成されたシンプルなデザイン。
余計な装飾等は一切ありませんので、非常にミニマルな印象です。
レンズの手前がズームリング、先端側がフォーカスリングになっています。


左下に見える穴は、USB-C端子です。
専用ソフト「TAMRON Lens Utility」を使った、ファームウェアのアップデートや設定の変更などに使用します。




上の写真は、ズームした外観。
レンズが伸びている写真(右側)が広角側20mmです。
ズームするに従いレンズが短くなり、40mmでは左側の写真になります。
ズームするとレンズが伸びそうなものですが、本レンズでは望遠側で一番レンズが短くなります。


上の写真は、フードを装着した状態。
大袈裟なフードではないため、装着後でもコンパクトさが損なわれておらず好印象です。




上の写真は、ソニーα1に装着した姿です。
まさにベストマッチという佇まい。
α7シリーズもα1と同程度の大きさですので、α7ユーザーにもピッタリなレンズです。
まとめ


TAMRON 20-40mm F/2.8 Di III VXD を、実際に使ってレビューしました。
気になる点はいくつかあるものの、どれも撮影を大きく妨げるものではありません。
それよりも、F2.8通しでありながら365gという事実。
F2.8通しは大きく重いという常識を、見事に覆してくれました。
明るさも、写りも、軽さも。すべて妥協したくない。
そんな方にこそ、手にしてほしい一本です。








