高倍率ズームレンズは、一本で何でも撮れる便利な道具ですが、どこかで「画質やオートフォーカスは妥協するもの」という諦めがありませんでしたか?
今回ご紹介する「TAMRON 25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2」は、そんな私たちの常識を塗り替えてくれる一本です。
発売直後に購入し、使い込んできた率直な感想は「迷ったらこれ一本で間違いない」ということ。
実はこれまで、ソニー純正の最高峰レンズである「FE 24-70mm F2.8 GMII」をメインに使ってきました。
しかし今では、このタムロン 25-200mmが常用レンズの座を奪ってしまうほど、お気に入りの一本になっています。
25-200mmという広いズーム域をカバーしながらも、純正のGレンズに匹敵するほどの写り。
AF性能も大幅に向上し、動体撮影でもストレスない速度と精度を手に入れました。
それでいて、質量はわずか575gに抑えられています。
もちろん、すべてが完璧というわけではありませんが、欠点を補って余りある魅力がこのレンズには詰まっています。
本記事では、実際に使って感じた「良かった点」と「気になる点」を、作例とともにお届けします。
作例
「TAMRON 25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2」で撮影した作例を紹介します。

旅先での海は、必ず残しておきたいもの。
撮影当日は若干かすみがかり、撮影には少し意地悪なシーン。
しかし、本レンズはその場の空気感を含めて、しっかりと写真に仕上げてくれました。
手前のテトラポッドから対岸の木々まで、非常に繊細な写り。
高倍率ズームは描写がイマイチというこれまでの常識を覆す描写に、ただただ感心します。

少しズームして53mm相当で撮影。
絞り開放にも関わらず、非常な繊細な写りに感じます。
前作28-200mmと比べて、一段と描写に磨きがかかった印象です。

水の美しさを表現するために、116mmまでズームして撮影した一枚です。
こういったシーンでも、レンズ交換なしで撮影できるのは高倍率ズームならではのメリット。
便利なだけでなく、描写も素晴らしいのが本レンズの良いところ。
透き通るような水の質感、伝わりますでしょうか。
ズームをしても描写が崩れることなく、安定したパフォーマンスを発揮してくれる。
本当に大したものです。

海岸に立つ白い鳥居を撮影した一枚です。
半逆光という撮影には厳しいシーン。
それにも関わらず、コントラストの低下はほとんど感じられません。
この時は携帯性を優先してフードなしという状況でしたが、それでもこれだけの写りを見せてくれました。
ハイライトからシャドー部まで抜けの良い写りに、レンズとしての描写力の高さが伺えます。

作例の写真は、成功なモニュメント。
ではなく海底トンネルを掘る際に使っていた回転体のレプリカだそうです。
金属の質感。各所に見られるサビ。
手触りまで感じられそうな質感表現に、本レンズの底力を感じ取ることができます。
しかも、この描写を絞り開放のF2.8で実現しているのですから、本当に驚かされます。

子供の動きは予測不可能。
準備する間もなく、慌ててシャッターを切ったことを覚えています。
それにも関わらず、子供がジャンプする一瞬をしっかりと捉えてくれました。
前作ではAF性能に若干の不安がありましたが、本レンズではその弱点を見事に克服し、動体撮影にもバッチリ答えてれます。
ソニー純正のFE 24-70mm F2.8 GMIIを愛用している私でも、全くと言ってよいほどオートフォーカス性能に不満はありません。
「動体撮影はやっぱり純正でないと」とは言わせない。
高倍率ズームの常識を覆す大きな進化に感じます。

旅先では風景ばかりでなく、食事も含めて残しておきたいもの。
マグロのテリに、少しざらざらとした表面の仕上げまで、実に見事な描写に感じます。

旅先で一休みした時のコーヒーも、やはり残しておきたい一枚です。
高倍率ズームはボケないと思われがちですが、本レンズは広角側がF2.8と明るいのが特徴。
絞り開放F2.8で撮影すれば、背景をボカすことができます。
ボケ質そのものも、非常になめらかです。
これだけのズーム域をカバーしながらも、ボケ味までしっかり狙える。
ただの高倍率ズームに留まらない、懐の深さを感じる一本です。

お食事中のネコにちょっと失礼して、撮らせてもらいました。
望遠側の絞り開放とは思えない繊細な描写。
柔らかそうな毛並みの一本一本までもが感じられそうな写りに、文句のつけようがありません。
硬いものは硬く、柔らかいものは柔らかく。
望遠端の開放からこれだけ写るのですから、本当に大したものです。

綺麗に並ぶ収穫前のイチゴを撮影した一枚です。
被写体であるイチゴはしっかりシャープ。
それでいて、背景は滑らかにボケてくれました。
今回は200mmまでズームし、さらにAPS-Cクロップを併用して300mm相当で撮影しています。
画素を切り出すクロップにも、十分に耐えうるシャープな写り。
高倍率ズームという枠には収まりきらない、底知れないポテンシャルを感じます。
よかった点

「TAMRON 25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2」のよかった点を紹介します。
①広角から望遠までカバーする高倍率ズーム
25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2は、光学8倍のズーム倍率を搭載しています。
最大の進化点は、前作の28mmから広角側が3mm広がり、25mmスタートになったこと。
広角域における1mmの差は、写る範囲に想像以上の違いを生みます。
この3mmの広がりによって、これまで以上に隙のないレンズに仕上がったと感じます。
このレンズさえあれば、撮れないものがないと思えるほどのズーム域。
特殊な撮影を除けば、ほとんどのシーンをこの1本でカバーできてしまいます。
レンズ交換の手間なく、目の前の光景にすぐ対応できる万能さは、高倍率ズームならではの特権です。
25mmと200mmでどれくらい撮れる範囲が違うのか、実際の比較を見てみましょう。


上の写真は、同じ位置から広角端25mmと望遠端200mmで撮影したものです。
一歩も動かずに、これだけ画角の違う写真を撮ることができます。
このズームレンジを一度体感してしまうと、もうこれ1本で十分だと思えるほど。
風景からスナップ、そして遠くの被写体まで。
何を持っていこうか迷ったとき、とりあえずこのレンズを手に取っておけば間違いない。
そう確信させてくれる心強い一本です。
②純正のGレンズに匹敵する高画質
25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2は、前作から画質面でも確かな進化を遂げています。
前作では描写が少し緩く感じる場面もありましたが、本レンズではワンランク上の描写性能を手に入れた印象です。
実際に使ってみた体感としては、ソニー純正のGレンズに匹敵するほどのキレを感じます。
絞り開放から安定した描写で、少し絞ることでさらに解像感が向上。
広角から望遠まで描写に大きな落ち込みがなく、どの焦点距離でも使いやすく感じました。
高倍率ズームにありがちな「甘さ」が抑えられているのは大きな魅力です。

上の画像は、写真の一部をクロップ(切り出)したものです。
細部までしっかりと解像しているのがわかります。
これだけ写れば、レンズの描写性能としては十分すぎるほど。
「高倍率ズームは画質がイマイチ」というこれまでの常識を覆してくれる、非常に完成度の高いレンズだと感じました。
ゆゆねこ純正の「FE 24-70mm F2.8 GM II」を愛用していますが、本レンズの描写性能に対して不満を感じるシーンはほとんどありませんでした。
③動体撮影にも対応可能なオートフォーカス


25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2は、オートフォーカス用モーターの一新により、AF性能も飛躍的に向上しました。
前作の28-200mmでは、合焦までにワンテンポ遅れる印象でしたが、本レンズではそうしたストレスがありません。
動きのある被写体への追従性についても、ソニー純正レンズと遜色ないレベルにまで引き上げられたように感じます。
運動会などのアクティブなシーンや、不規則に動くペットの撮影であっても、スッとピントが合ってくれる。
これまでの高倍率ズームでAF性能に不満を感じていた方にとっても、十分に満足できる仕上がりです。



従来レンズで唯一の弱点とも言えたAF性能が劇的に改善されたことで、いよいよ死角のない「万能レンズ」に生まれ変わりました!



これなら運動会でも安心して使えるね!
④広角側ではF2.8を確保し、暗所でも対応できる優秀さ


25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2の大きな魅力のひとつが、広角端で開放F2.8という明るさを確保している点です。
一般的な高倍率ズームはF3.5やF4から始まることが多い中、この「F2.8」という数値がもたらす安心感は、想像以上に大きいと感じます。
光量の足りない室内や夕暮れの街角など、どうしてもシャッタースピードを稼ぎたいシーン。
そんなときでも、レンズ交換をすることなく対応できてしまうのが本レンズの魅力です。
わざわざ明るい単焦点レンズを一緒に持ち出さなくても、これ1本あれば暗い場所での撮影も躊躇せずに済む。
「この1本で事足りる」という安心感は、トラベルズームとして、とてもとても魅力的なのです。
⑤軽量な高倍率ズームレンズ
フルサイズ対応の高倍率ズームとしては、非常に軽量な点が魅力です。
本レンズの質量はわずか575g。
ソニー純正の高倍率ズームレンズが780gであることを踏まえると、約74%にまで重さを抑え込んだ設計は見事です。
ズームレンジの利便性ゆえに、このレンズは日常から旅行など様々なシーンで持ち出す機会も多くなります。
そこで重要になるのが「軽さ」です。
いくら写りが良くても、大きくて重いと持ち出す頻度が減ってしまいます。
持ち出さなければ写真は撮れません。
軽くてよく写る。
この両方を高い次元で両立していることが、本レンズ最大の魅力だと感じます。
⑥システムとしての利便性を高める、67mmのフィルター径
25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2のフィルター枠には、タムロン製レンズではお馴染みの67mm径を採用されています。
タムロンのレンズを愛用している方であれば、手持ちのフィルターをそのまま使い回せるため、追加で購入のコストがかかりません。
前作の28-200mmも同じく67mm径でしたので、新型レンズへの移行もスムーズに行えます。
レンズごとに異なるサイズのフィルターを揃える必要がない、こうしたユーザーの使い勝手を第一に考えた設計に、メーカーとしての懐の深さを感じます。
気になる点


「TAMRON 25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2」は満足度の高いレンズですが、気になる点もありましたので紹介します。
①前作(28-200mm)と比較して、開放F値が大きくなるのが早い
本レンズを検討する上で押さえておきたいのが、焦点距離ごとの開放F値の変化です。
前作の28-200mmと比較すると、望遠側へズームした際にF値が大きくなる(一段暗くなる)タイミングが、やや早くなっていることが気になりました。
具体的な比較数値は以下のとおりです。
| TAMRON 28-200mm | TAMRON 25-200mm | SIGMA 20-200mm | |
|---|---|---|---|
| 20mm | F3.5 | ||
| 21mm | F4 | ||
| 25mm | F2.8 | ||
| 27mm | F3.2 | ||
| 28mm | F2.8 | F3.2 | F4.5 |
| 31mm | F3.2 | ||
| 35mm | F3.2 | F3.5 | F4.5 |
| 38mm | F5 | ||
| 41mm | F4 | ||
| 44mm | F3.5 | ||
| 50mm | F3.5 | F4 | F5.6 |
| 53mm | F4.5 | ||
| 54mm | F4 | ||
| 76mm | F5 | ||
| 78mm | F4.5 | ||
| 82mm | F6.3 | ||
| 96mm | F5.6 | ||
| 114mm | F5 | ||
| 147mm | F5.6 | ||
| 200mm | F5.6 | F5.6 | F6.3 |
数値を見ると分かる通り、従来品は114mm付近までF4.5を維持できていましたが、本レンズでは73mm付近でF5に変わり、96mm以降はF5.6になります。
開放F値に関していえば、従来品の方が優秀に感じるかもしれません。
しかし、これは広角側を25mmまで広げ、さらに描写やAF性能を底上げしたことによる設計上のトレードオフ。
これはあくまでタムロンの従来品と比較して気になるだけで、高倍率ズーム全体で見れば、依然として十分に明るい数値を備えたレンズです。
ライバルであるシグマの20-200mmと比較すれば、本レンズの方が開放F値の変化はかなり緩やかで、明るさを保っていることが分かります。
とはいえ、前作からの乗り換えでは気になる点かもしれません。
念の為、押さえておきましょう。
②レンズを伸ばした時のルックスは好みが分かれる




伸ばした時の写真を入れる
カメラに装着した際の外観は、非常に精悍でまとまりが良い本レンズ。
しかし、撮影の際に望遠端までズームさせると、その姿は大きく変わります。
鏡筒が長く前方に繰り出され、少し不格好に感じてしまうかもしれません。
見た目が気になる方は、ズーム時のルックスをしっかりと確認しておきましょう。
③レンズ内手ブレ補正は非搭載
タムロン25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2には、レンズ内手ブレ補正機構が搭載されていません。
そのため、ボディ内手ブレ補正を持たない初期のα7や、APS-Cモデルのα6400、ZV-E10シリーズなどを使用する場合は注意が必要です。
とはいえ、近年のソニーαシリーズ(フルサイズの第2世代以降など)は、ボディ内手ブレ補正を備えています。
フルサイズ機での運用を想定している方であれば、問題となるシーンは皆無と言って差し支えありません。
自身の持っているカメラにボディ内手ブレ補正機能を搭載しているか、あらかじめ確認しておきましょう。
スペック比較
スペックの比較をしていきましょう。
前作の28-200mm、そしてライバルであるSIGMA 20-200mmと比較してみました。
| TAMRON 28-200mm | TAMRON 25-200mm | SIGMA 20-200mm | |
|---|---|---|---|
| 焦点距離 | 28-200mm | 25-200mm | 20-200mm |
| ズーム倍率 | 約7.1倍 | 約8倍 | 約10倍 |
| 開放F値 | 広角側 F2.8 望遠側 F5.6 | 広角側 F2.8 望遠側 F5.6 | 広角側 F3.5 望遠側 F6.3 |
| 最大撮影倍率 | 約0.32倍 | 約0.53倍 | 約0.5倍 |
| 長さ | 117mm | 121.5mm | 117.5mm (Eマウント) |
| 質量 | 575g | 575g | 540g (Eマウント) |
| フィルター型 | 67mm | 67mm | 72mm |
| 価格 | 約9.6万円 | 約11.6万円 | 約12.9万円 |
ズーム倍率に目を向けると、10倍ズームを実現しているSIGMAの20-200mmがリード。
次いで、本レンズである25-200mmの8倍ズームが続きます。
サイズ感については同程度ですが、質量はわずかにSIGMAが軽量です。
価格面では、やはり旧型となった28-200mmがお手頃。
本レンズはちょうどその中間という立ち位置です。
描写性能の向上を考えればコストパフォーマンスは非常に高いと感じます。
同じように見える3本のレンズですが、それぞれに特徴があり完全な上位互換になっていません。
ズーム倍率を取るのか描写性能を取るのか。はたまた安さを取るのか。
ご自身の好みに合ったレンズを選択しましょう。
外観
レンズの外観を見ていきましょう。


非常にシンプルなデザイン。
外装には艶のあるブラック塗装を採用し、前作28-200mmよりも高級感のある仕上がりになっています。
手前側がフォーカスリング、奥側がズームリングという配置。
レンズの右側にはズームロックレバーがあります。
ロックすることで、いつの間にかレンズが伸びている状況を防ぐことができる頼もしい機能です。


レンズ横にはフォーカスセットボタンとUSB-C端子を配置。
フォーカスセットボタンは、公式アプリ「TAMRON Lens Utility Mobile」を使うことで、様々な機能を割り当てることができます。


上の写真は、α1に装着した状態。
その精巧なルックスは、α1のボディにもピッタリと馴染みます。
大きすぎず、かといって小さすぎない。
見た目のバランスも丁度良く感じます。




最後に、撮影時の外観についても触れておきましょう。
気になる点でも挙げた通り、本レンズは望遠側で撮影する際に鏡筒が大きくせり出します。
この時のルックスは、正直お世辞にもスマートとは言えません。
とはいえ、ズーム時にレンズが伸びるのはこの手のレンズの宿命。
本レンズに限った話ではありません。
見た目の佇まいを重視される方は、望遠撮影時にはそれなりに鏡筒が伸びることをあらかじめ踏まえておくと良いでしょう。
まとめ


25-200mm F/2.8-5.6 Di III VXD G2は、広角25mmへの進化により、高倍率ズームの万能性をさらに高めた一本です。
純正Gレンズに匹敵する解像感と、動体にも対応できるAF性能を備え、「便利ズームだから画質は妥協する」という常識を覆してくれました。
それでいて575gの軽量設計。
このレンズは、その「持ち出す」という心理的ハードルを限りなく下げてくれます。
旅先から日常まで、これ一本あれば大丈夫。
そう確信させてくれる、心強い一本です。










