ミラーレスカメラ全盛期の今、あえて一眼レフカメラを購入しました。
購入したカメラはPENTAX KP。
一眼レフカメラと言えば、一世を風靡した高性能カメラの代名詞と呼べる存在。
しかし、それも過去のこと。
現在、ほとんどのカメラメーカーは開発の主軸をミラーレスカメラに移し、一眼レフカメラの開発を凍結しました。
最近では、ペンタックス(リコーイメージング)を除き他のカメラメーカーは開発をストップしているカメラ。
ミラーレスカメラよりも大きく重い。性能だって最近のミラーレスカメラには及びません。
そんなカメラを何故、今更購入したのか。
それは、一眼レスカメラ唯一無二の特徴、光学ファインダーがあるから。
ミラーレスカメラが、ファインダー内に表示された液晶を見るのに対し、一眼レフカメラは光学ファインダーで実際の像を見る事ができます。
光学ファインダーは、遅延がなく、目に優しい。
何より、光学ファインダーでの撮影は楽しいのです。
数ある一眼レフカメラの中からPENTAX KPを選んだ理由は以下の3点。
- デザイン
- ボディ内手ブレ補正
- 現在でも一眼レフを開発しているメーカー
PENTAX KP。実際に使い込んでみると、デザインだけでなく多くの魅力を秘めたカメラであると驚かされました。
そんなPENTAK KPの魅力についてメリット・デメリット、作例も含めて紹介します。
PENTAX KPは新品での販売を終了しており、入手するには中古を選択する必要があります。
- ソニーα9
- ソニーRX100m7
- ニコンZf
- ニコンZfc
PENTAX KPとは
PENTAX KP は2017年にリコーイメージングから発売された、APS-Cの一眼レフカメラ。
PENTAX 最後の中級機で、KPの後継機は発売されていません。
約2432万画素のAPS-Cセンサーに、5段分の5軸手ブレ補正を搭載。
防塵防滴にもしっかり対応し、フィールドを選ばず活躍できます。
PENTAX KPの作例
PENTAX KP の作例を見ていきましょう。
カメラ|PENTAX KP
レンズ|HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR
作例の焦点距離は、すべて35mm換算値を記載しています。
実焦点距離は、1.5で除した値になります。
望遠側60mm(35mm換算)、絞り開放で撮影。
シャープと言うよりは、柔らかさが残る繊細な描写。
花びらの柔らかい質感が伝わります。
望遠側60mm(35mm換算)、絞り開放で撮影。
肌の滑らかなトーン。良いですよね。
KPとリミテッドレンズの組合せは、柔らかい被写体の質感表現が得意な様です。
紅白が美しい源平桃。
ビビッドになりがちな花ですが、KPで撮影するとちょうどいい塩梅に。
落ち着いた色表現も可能です。
43mm(35mm換算)絞り開放での撮影。
この写真。実は微妙にピントが外れています。
ピンボケは狙ったわけではなく、オートフォーカスが追従できずにシャッターを切ったもの。
着目すべきはオートフォーカス性能ではなく、ピントが外れていても絵になるという事。
これはLeica M (Typ240)を使用していた時の感覚に近いものがあります。
繊細な表現は、花を撮るのにも向いています。
ボケも自然。
シャドー部にもしっかりと階調が残っており、KPのセンサー性能の高さが伺えます。
広角30mm(35mm換算)で撮影。
直線の伸びが美しいですね。
シャープというよりは、どこか柔らかさを感じる描写。
PENTAX KPは、人工物よりも自然や人物の撮影に向いているのかもしれません。
繊細な描写、豊かな諧調表現に感心します。
ぱっとみて良いというよりは、ほっとする写真。
シャープな写真に慣れている中、KPの柔らかな描写もいいものです。
スペック比較
PENTAX KPのスペックを見ていきましょう。
ペンタックスの2024年時点の現行機種と比較しています。
KF | KP | K-3 markIII | K-1 markII | |
---|---|---|---|---|
マウント | Kマウント | Kマウント | Kマウント | Kマウント |
センサーサイズ | APS-C | APS-C | APS-C | フルサイズ |
約画素数 | 約2424万画素 | 約2432万画素 | 約2573万画素 | 約3640万画素 |
ファインダー | 0.63倍 (換算) | 0.63倍 (換算) | 0.7倍 (換算) | 0.7倍 (換算) |
シャッター | 1/6000 | 1/6000 | 1/8000 | 1/8000 |
連写 | 6コマ/秒 | 7コマ/秒 | 12コマ/秒 | 4コマ/秒 |
内蔵フラッシュ | あり | あり | なし | なし |
ボディ内手ブレ補正 | あり | あり | あり | あり |
可動液晶 | 約104万ドット バリアングル | 約92万ドット チルト | 約162万ドット 固定 | 約104万ドット フレキシブルチルト |
タッチパネル | ||||
スマホ連携 | ||||
USB充電 | USB-C | USB-C | ||
低速限界設定 | ||||
ボディ質量 (バッテリーSD含む) | 約684g | 約703g | 約820g | 約1010g |
カラー | ブラック クリスタルホワイト クリスタルブルー ストーン オリーブ | ブラック シルバー | ブラック シルバー | ブラック シルバー(限定) |
発売年 | 2022年 | 2017年 | 2021年 | 2018年 |
価格 | 約8.5万円 | 約10万円 | 約19.3万円 | 約19.1万円 |
PENTAXの一眼レフカメラはK-1シリーズを除いて、全てAPS-Cセンサーを搭載しています。
KP以外の3機種は、2024年6月現在の現行機種です。
スペックだけで見ると、APS-Cのフラッグシップ(最上位)カメラのK-3 markIIIの充実ぶりが光ます。
KPは、KFと似たようなスペック。
KPは2017年発売と一番古いカメラですが、ISOオート時の低速限界設定が可能な点がGOOD。
また、チルト液晶も写真機(スチル機)としてポイントが高い。
PENTAX KPは外装にマグネシウム合金を採用しているため、KFと比較して質感も良好です。
外観
PENTAX KPの外観を見ていきましょう。
正面
KPの正面。
直線を基調とした美しいデザイン。
全面左側にはフロントダイヤルが配置されています。
KPはグリップ交換システムを採用しており、別売りのグリップを購入することで、交換が可能です。
写真は、最初から付属しているSグリップ。
背面
KPの背面。
上部には光学ファインダー。
左側にモードダイヤル、右側にも2つのダイヤルがあります。
ペンタックス特有のグリーンボタンも、しっかりと受け継がれています。
背面液晶はチルト式。
一眼レフカメラは、固定液晶またはバリアングル液晶が多く、チルト液晶は珍しい。
チルト液晶は、ワンアクションで展開できるメリットがあります。
上面
KPの上面(軍幹部)。
左側にモードダイヤル。
右側に、機能ダイヤルを配置。
スッキリとデザインされており、好印象です。
サイド
KPのサイド。
サイドにはフラッシュの展開ボタン。
オートフォーカスモードの切替もこちらにあります。
サイドビュー|HD PENTAX-FA 35mmF2装着
こちらは、HD PENTAX-FA 35mmF2装着した外観。
PENTAX KPはデザインがいいので、リミテッドレンズ以外でも似合います。
メリット
PENTAX KPの良かった点(メリット)について紹介します。
- 光学ファインダーによる撮影体験
- 雰囲気の良い写真が撮れる
- 美しいデザイン
- ボディ内手ブレ補正搭載
- 優れた操作性
- チルト液晶採用|一眼レフでは貴重
- 充実した対環境性能|防塵防滴
光学ファインダーによる撮影体験
PENTAX KPは一眼レフカメラ。
光学ファインダーを搭載しています。
光学ファインダーは、レンズに入った光(被写体)をそのままファインダーで見る事ができます(※1)。
ガラス窓から見ているようなイメージで、デジタル感がありません。
(ミラーレスカメラのファインダーでは、液晶に表示された画像をファインダーで見ています)
光学ファインダーは、露出がファインダーに反映されないなどのデメリットもありますが、目に優しい、遅延がないといったメリットもあります。
何より、使っていて楽しいのです。
撮影そのものを楽しむ撮影体験こそが、一眼レフカメラの一番のメリットかもしれません。
実際には、レンズに入った光は以下の経路でファインダーに導かれます。
- ミラー
- ペンタプリズム(ペンタミラー)
- ファインダースクリーン(フォーカシングスクリーン)
- ファインダー
そのため、実際にはファインダースクリーンに映し出された像を見ています。
ミラーレスとは異なり、光学的に処理された像を見ているので、当然デジタル感はありません。
雰囲気の良い写真が撮れる
PENTAX KP で写真を撮った時に感じたのは、雰囲気のよい写真が撮れるという事。
目覚めるようなシャープな写真では、ありませんが何故かほっとする画質。
線の細い、繊細な写りをします。
これは、ライカM typ240を使っていた時の感覚に近いものがあります。
大袈裟かもしれませんが、他者とは目指している写真の方向性が異なる様に感じました。
私は好きです。
美しいデザイン
直線を基調とした美しいデザイン。
一眼レフカメラとしては珍しく、デザインにこだわったカメラとなっています。
リミテッドレンズ(レンズの味を敢えてを残したレンズ)のデザインも相まって非常に美しい。
(上の画像は、HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRを装着したKP)
シルバーカラーが選択できるのも嬉しいポイントです。
ボディ内手ブレ補正搭載
PENTAX KP は一眼レフカメラでは希少な、ボディ内手ブレ補正を搭載しています。
現在でも一眼レフカメラを生産しているメーカーでボディ内手ブレ補正を搭載しているのはペンタックス(リコーイメージング)のみ。
一眼レフで有名なキヤノンやニコンは、一眼レフにボディ内手ぶれ補正は搭載していません。
(ミラーレスカメラは他メーカーもボディ内手ぶれ補正を搭載しています)
ボディ内手ブレ補正は、必須の機能ではありません。
ですが、どんなレンズでも手ぶれ補正が効くというのは、格別の安心感があります。
優れた操作性
PENTAX KPは独立した3つのダイヤルを搭載。
それぞれのダイヤルに機能の割当ができます。
ボタン類も充実しているので、自分好みの操作系にカスタマイズ可能です。
特に秀逸なのが、ボディ上面(軍幹部)の中央に配置されたダイヤル。
このダイヤルで選択した項目の設定を、右下のダイヤルで変更可能。
メニューに入らずとも、ダイヤルの機能割り当て変更ができるので、かなり快適に操作できます。
ファインダー、ライブビュー、動画の切替スイッチも独立して存在。
ライブビューへの切替がワンアクションで出来るのは嬉しいポイントです。
PENTAX KPは、ボタン・ダイヤルが充実しており、快適な操作性を実現しています。
チルト液晶採用|一眼レフでは貴重
PENTAX KPはチルト(可動)液晶を搭載。
固定液晶やバリアングル液晶のカメラが多い中、貴重な存在です。
基本はファインダーを覗いて撮影する一眼レフカメラですが、ローアングルやハイアングルで撮りたい時もあります。
そんな時に、チルト液晶は非常に便利。
ローアングル撮影で、地面にうつ伏せになる必要はありません。
充実した対環境性能|防塵防滴
PENTAX KPは防塵防滴に対応。
小雨や雪が降る中、積極的に活用できそうです。
更に、公式で-10℃耐寒動作保証と謳っているほど。
耐環境性の高さは信頼性の現れ。
私自身は、過酷な環境で使うことは少ないですが、どんな場所でも使える安心感は、やはり嬉しいものです。
惜しむべきは、防塵防滴に対応したリミテッドレンズがただ1つ。
HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WRのみだと言うこと。
他のリミテッドレンズを装着した時は、防塵防滴が活かされません。
デメリット
PENTAX KPの気になるポイント(デメリット)について紹介します。
- オートフォーカスは今ひとつ
- サイズは大きめ
- 一眼レフとしてはバッテリーの持ちが悪い
①オートフォーカスは今ひとつ
PENTAX KPに限ったことではありませんが、PENTAX のカメラはオートフォーカス速度・精度に関して他者にリードを許しています。
PENTAX KPは2017年に発売されたこともあり、オートフォーカス面では特別優秀とは言えません。
ただし、積極的に動体を撮ったりしなければ、必要十分なオートフォーカスを搭載していますので、ご安心を。
もちろん、上記は光学ファインダーで撮影した場合の話。
ライブビュー(液晶で画像を見ながらの)撮影では、驚くほど遅いです。
一眼レフカメラなので、そこは仕方ない。
割り切りましょう。
②サイズ感は大きめ
PENTAX KP は一眼レフカメラであるため、サイズ感は大きめです。
一眼レフカメラの中では、特別大きいわけではありませんが、ミラーレスカメラと比較すると大きいと感じてしまいます。
構造上、小型化が難しいとは言え、もう少し小さいとありがたい。
③一眼レフとしてはバッテリー持ちが悪い
PENTAX KPは若干バッテリー持ちが悪いと感じました。
ただし、これは比較対象を一眼レフカメラとした場合です。
ミラーレスカメラと比較すれば、むしろバッテリー持ちは良い方。
しかし、ライブビューを多様するとミラーレスカメラよりもバッテリー消費が激しくなります。
基本は光学ファインダーを覗いて撮りましょう。
一緒に買うと便利なもの
PENTAX KP と、一緒に購入すると便利なものを紹介します。
- SDカード
- 保護フィルム・ガラス
- 保護フィルター
SDカード
PENTAX KPのSDカードタイプは、UHS-I。
UHS-IIには対応していないので、UHS-Iタイプを購入しましょう。
(UHS-IIのSDカードも使えますが、UHS-I相当の速度での動作になります)
オススメのSDカードを紹介しておきます。
容量は、写真を撮るだけなら64GBで十分です。
参考|64GBではJPEGだけで約4160枚、RAW+JPEGで約930枚ほど記録できます。
毎月のAmazonセールで安くなる事が多いため、セールの時に購入するとお得です。
Amazonでブラックフライデーセールで、SDカードがセール中です!(〜12/6)
Nextorage | SanDisk | |
---|---|---|
SDカードタイプ | UHS-I | UHS-I |
商品名 | NX-F2CL128G | SDSDXXU-064G-GHJIN |
最大速度 | 読込:100MB/s 書込:非公表 最低書込:30MB/s | 読込:200MB/s (カメラでは最大読込104MB/s) 書込:90MB/s |
容量 | 128GB | 64GB |
価格 | 2,580円 | 2,425円→2,215円 |
UHS-IのSDカードは、SanDiskが最もおすすめです。
NextorageのSDカードが代替わりし、最大書込速度が非公表になりました。
最低書込速度は保証されていますので、連写を多用しない方はNextorgageでもOKです。
保護フィルム
液晶の保護に必要な、保護フィルム。
今回は、ケンコー・トキナー製の保護フィルムを選択しました。
やはり、保護フィルムを貼っておくと安心ですよね。
保護フィルター
保護フィルターは、レンズへのキズを防ぐためのアイテム。
保護フィルターのメリット
- レンズへのキズ防止
- レンズの汚れ、ホコリ等の付着防止
- レンズがキズつかない レンズ修理費が掛からない
写りへの影響は、ほぼゼロ(逆光時は影響がある場合あり)。
『基本的に保護フィルターを付けておき、影響が出る時のみ外すという運用』がオススメです。
フィルターのサイズは、レンズのサイズに適したものを選びましょう。
私の使用している「HD PENTAX-DA 20-40mmF2.8-4ED Limited DC WR」のフィルターサイズは55mmです。
まとめ
PENTAX KPのレビューをしました。
直線を基調とした美しいデザインに光学ファインダー。
基本性能もしっかりしており、撮影体験を楽しむのにオススメのカメラです。
- 光学ファインダーによる撮影体験
- 雰囲気の良い写真が撮れる
- 美しいデザイン
- ボディ内手ブレ補正搭載
- 優れた操作性
- チルト液晶採用|一眼レフでは貴重
- 充実した対環境性能|防塵防滴
- オートフォーカスは今ひとつ
- サイズは大きめ
- 一眼レフとしてはバッテリーの持ちが悪い
一眼レフカメラも第一線を退いたとは言え、まだまだ現役のカメラ。
簡単便利なミラーレスカメラもいいですが、ちょっと不便な位が趣味としては楽しいかもしれません。
デザインに拘った一眼レフカメラ。
手元におひとつ如何でしょうか。
PENTAX KPは新品での販売を終了しており、入手するには中古を選択する必要があります。
コメント
コメント一覧 (4件)
PENTAX K-3 Mark Ⅲの発売日は2021/4/23です。
また一眼レフはレンズから入った光をそのまま見ているわけでは有りません。一度、フォーカシングスクリーンに映したものを見ています。
コメントありがとうございます。
PENTAX K-3 MarkIIIの発売日はご指摘の通り、2021年です。修正しました。
一眼レフに関する記述も、おっしゃる通り正確にはフォーカシングスクリーン(ファインダースクリーン)に映し出されたものを見ています。
ただ、一般の方には中々伝えることが難しいため、イメージしやすいようにブログに記載した表現を使用しました。
誤解を与える可能性がありますので、表現を少し見直そうと思います。
ありがとうございます。
私も銀塩時代から 40年にわたるPENTAXユーザーです。そして現在はフジフイルムのコンデジ(X30)と共に KPを使っています。銀塩時代のレンズがそのまま使えるって本当にユーザーにとっては有難いこと。ゆゆねこさんも仰る通り、KPはデザインが良いです。PENTAXらしい三角帽子と、何と言っても「グリップが小さい」こと。一眼レフはグリップがバカデカいデザインの機体が多くて、バランスが悪い。私も標準装備のSグリップのままで使っています。
コメントありがとうございます。
KPのデザイン、本当に良いですよね。
Sグリップとの相性は抜群です。
状況に合わせて、大きめのグリップと交換できる機能も素晴らしい。
仰る通り、Kマウントは銀塩時代のレンズをそのまま装着できるので、非常にユーザーフレンドリー。
そう考えると、ペンタックスはユーザー思いのブランドなんだなーとつくづく思います。
富士フイルムのX30も、デザインと機能性のバランスが素晴らしいカメラですよね。
電源スイッチを兼ね備えた手動ズームが秀逸。
富士フイルムの2/3インチセンサー機は、X30を最後に発売されなくなったことが非常に残念でなりません。