オリンパスのミラーレスカメラ、OM-D E-M1初代を10年間使用してきましたので、10年越しのレビューをしていきます。
発売は2013年。
ファームウェアアップデートにより、大幅な機能向上もあり、10年以上たった今でも十分に通用する性能。
私の人生で、一番シャッターを切ったカメラです。
発売当初は約15万円と高価なカメラでしたが、今では中古で4万円程度とお安く手に入れることができます。
普段使いでは、いまだに現役。
OM-D E-M1 初代。
気になった方は、ぜひ最後まで見て行ってください。
オリンパス OM-D E-M1とは
OM-D E-M1は2013年にオリンパスから発売された、ミラーレスカメラのフラッグシップモデル(最上位機種)。
像面位相差オートフォーカスを搭載し、動体撮影性能が向上したミラーレスカメラです。
ミラーレスカメラは動体に弱いとされていた時代に、一石を投じた記念すべきモデル。
高速シャッター1/8000秒に対応し、連続撮影枚数もRAWで50枚と、フラッグシップの名に相応しい性能。
従来機、OM-D E-M5で搭載された5軸手ぶれ補正、耐候性(防塵防滴)はしっかりと引き継がれています。
計15回のファームウェアアップデートにより、発売当初とは別物と言って良いカメラにパワーアップ。
発売当時はブラックモデルのみでしたが、2014年にシルバーモデルが追加されました。
フラッグシップとしては珍しい、2色展開です。
私は、ブラックを購入。その後、シルバーに買い換えました!
作例
E-M1の作例を見ていきましょう。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R
望遠レンズでの作例。
公園に咲く梅の花を撮影しました。
ピントの合った中心部はしっかりと描写。背景のボケも非常に滑らか。
シャドー部の階調も申し分ありません。
使用したレンズは、エントリー機のキットレンズにもなっている40-150mmのレンズ。
このレンズ、性能は並ですが意外と良い写りをします。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R
同じく望遠レンズでの作例。
深みのある赤。綺麗ですよね。
葉っぱの艶感もお見事。
ボケは非常に素直で好感が持てます。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
望遠レンズでの作例。
ピントの合った左目が非常にシャープ。
それでいてボケも美しい。
ハイライトからシャドーまで、トーンの繋がりが絶妙で、2013年のカメラとは思えません。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8
アザラシの浮上による水しぶきの表現、素晴らしいですよね。
肌のウエット感もしっかりと伝わってきます。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO
ピントの合った中央は実にシャープ。
この立体感。本当に感心します。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
広角12mm(換算24mm相当)で撮影。
スローシャッターにより、滝の流れを表現しました。
シャッタースピードは1/5秒。
このような表現は、三脚を立ててじっくり撮るものですが、E-M1には手ぶれ補正がある。
優秀な5軸手ぶれ補正の恩恵により、手持ち撮影でもコレぐらいの表現はできてしまいます。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
深みのある緑の表現、美しいですよね。
湿度もしっかりと伝わる描写。
シャドー部も潰れすぎる事なく、いい塩梅です。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
広角側12mm(換算24mm相当)で撮影。
写真の周辺まで、しっかりと像を結びます。
滝の陰になっているシャドー部にも階調が残っており、意外にもダイナミックレンジは広いようです。
使用レンズ|M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
吊橋と紅葉のコラボレーション。
撮影当日は雨に見舞われましたが、E-M1の防塵防滴のお陰で臆する事なく撮影ができました。
雨に濡れた、吊り橋の質感表現もGOODです。
使用レンズ|LUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 POWER O.I.S.
撮影当日は、土砂降りの雨。
撮影を躊躇するほどの雨でしたが、E-M1の防塵防滴ボディに助けられ、最後までトラブルなく撮影をすることができました。
防塵防滴は必須の機能ではありませんが、やはり安心感が違います。
肝心の写真の描写もGOOD。
戦車の質感、雨でぬかるんだ地面にリアリティを感じます。
使用レンズ|LUMIX G X VARIO 35-100mm F2.8 POWER O.I.S.
まだまだミラーレスカメラが動体撮影に弱かった時代。
ですが、これくらいであればE-M1でも十分に撮影可能。
戦闘機から出る煙の表現。
実にリアルです。
スペック比較
E-M1シリーズのスペック比較。
E-M1の後継機とされるOM SYSTEMのOM-1も比較表に加えています。
E-M1 | E-M1 mark2 | E-M1 mark3 | OM-1 | |
---|---|---|---|---|
センサーサイズ | 4/3 | 4/3 | 4/3 | 4/3 |
有効画素数 | 約1628万画素 | 約2037万画素 | 約2037万画素 | 約2037万画素 |
ファインダー | 約236万ドット | 約236万ドット 換算0.74倍 | 約237万ドット 換算0.74倍 | 換算0.83倍 | 約576万ドット
内蔵フラッシュ | ||||
手ぶれ補正 | 5軸 | 5軸 | 5軸 | 5軸 |
液晶 | 約104万ドット | 約104万ドット | 約162万ドット | |
可動液晶 | チルト | 自撮対応 | バリアングル自撮対応 | バリアングル自撮対応 | バリアングル
タッチパネル | あり | あり | あり | あり |
スマホ連携 | あり | あり | あり | あり |
USB充電 | USB-C | USB-C | ||
低速限界設定 | 対応 | 対応 | 対応 | |
RAW記録 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
防塵防滴 | 対応 | 対応 | 対応 IPX1 | IP53またはIPX1 | 対応
質量 (バッテリーSD含む) | 約497g | 約574g | 約580g | 約599g |
サイズ | 約130×94×63mm | 約134×91×69mm | 約134×91×69mm | 約135×92×73mm |
価格 | 約3〜4万円 | 中古中古 約6〜8万円 | 中古 約10〜12万円 | 中古 約15万円〜 |
意外にもスペック上の違いは少なく、初代E-M1が如何に完成されたカメラであったかが伝わります。
初代E-M1の特徴は、軽さとチルト液晶。
フラッグシップでありながら500g以下のカメラは初代E-M1のみ。世代を重ねるごとに重くなっていきます。
もう一つ注目したいのは可動液晶。E-M1シリーズ(OM-1シリーズ含)で唯一チルト液晶を採用。
バリアングルと異なり、ワンアクションで液晶を展開できるので、好みの方も多いはず。
E-M1の外観
E-M1の外観を見ていきましょう。
E-M1正面
まずは、E-M1の正面を見ていきましょう。
直線を基調としたボディ。
向かって左側には大型のグリップが配置されています。
どこかモダンで、それでいてクラシカル。好みのデザインです。
レンズ左側の2つのボタンはカスタムボタンになっており、好きな機能を割り当てることができます。
E-M1背面
次に背面。
操作系は右側に集中しており、右手だけでほとんどの操作を完結できます。
中央には約236万ドットのファインダー。
2013年当時は、非常に優れたファインダーでした。
AEL/AFLボタンやFn1には、好きな機能を割り当てることができます。
ファインダー右のレバーはAF/MFの切り替えスイッチ。1の時はオートフォーカス、2の時はマニュアルフォーカスになります。
液晶モニターは、チルト式の可動液晶を採用。
ローアングル、ハイアングル撮影で重宝します。
E-M1上面(軍幹部)
最後に上面(軍幹部)。
左側に電源スイッチを配置。
右側にはモードダイヤル。更に2つのダイヤルが配置されています。
Fn2と録画ボタンは、好きな機能を割り当て可能。
E-M1はカスタマイズが豊富なので、自分好みの設定に煮詰めると非常に使いやすくなります。
良かった点(メリット)
初代E-M1を使っていて良かったことは、以下の6点。
- 優秀な手ぶれ補正
- 防塵防滴の堅牢なボディ|雨でも快適
- 必要にして十分な画質|防水カメラとしては優秀
- しっかりとしたグリップ
- 可動液晶がチルト式
- 小型軽量なシステム|レンズが軽い
順番に解説していきます。
①優秀な手ぶれ補正
オリンパスと言えば、手ぶれ補正。
今でこそ、ボディ内手ぶれ補正が一般的になりましたが、2013年当時は少数派。
ボディ内手ぶれ補正を搭載したミラーレスカメラはオリンパスとペンタックスのみでした。
手ぶれ補正効果は、シャッタースピード4段分。
2024年現在でも十分な補正効果があります。
こちらの写真は、シャッタースピード1/5秒。
E-M1の5軸手ぶれ補正により、ブレのない写真が可能です。
更にはファームウェアアップデートにより、レンズ側手ぶれ補正との協調駆動を実現しました(オリンパスレンズにのみ対応)。
2013年発売と、古いカメラではありますが手ぶれ補正に関しては今でも現役です。
②防塵防滴の堅牢なボディ|雨でも快適
オリンパスと言えば、防水カメラに防塵防滴カメラ。
非常にタフなイメージの強いメーカーです。
OM-D E-M1は防塵防滴ボディを採用。
防塵防滴とは・・・カメラ内への水や埃の侵入を塞ぐための機能。隙間にシーリング(ゴム等)を施すことにより、水や埃が侵入しにくい構造となっています。
雨の中、何度も使用していますが、今の所故障したことはありません。
防塵防滴は必須の機能ではありませんが、あるのと安心感が段違い。
雨の日でも躊躇なく使えるのは、嬉しいポイントです。
雨の日でも安心して使えるのは、本当に心強い!
防水ではないので、慢心してはダメですよ!
③美しいデザイン|モダンとクラシカルの融合
直線を基調としたクラシカルな外観と、大きなグリップを融合させたデザイン。
どこかモダンで、それでいてクラシカル。
賛否両論あるものの、私は好みのデザインです。
軍幹部(カメラ上面)に配置されたダイヤルはアルミ削り出し。
ボディにはマグネシウム合金を採用し、頑丈さと軽さを両立しています。
デザインもさることながら、質感にもこだわったカメラに仕上がっています。
パッと見てカッコいいと言うよりは、使っていて満足度の高いデザインという表現が合っているかも。
④しっかりとしたグリップ
E-M1は大型グリップを採用。
このグリップは握りやすく、望遠レンズなどの大型レンズ装着時に大活躍です。
もちろん、小型レンズ装着時でも、グリップがあることで非常に安定した撮影が可能。
フラットデザイン(グリップ部がフラット)のカメラも良いですが、やはりグリップは大きい方が快適です。
E-M1なら、デザインとの融合も秀逸なので、機能性とデザインを両立したい方にはオススメしたいカメラに仕上がっています。
⑤可動液晶はチルト式
E-M1はスチル(写真)派には嬉しいチルト式の可動液晶を採用。
ローアングルやハイアングルはお手のもの。
無理な体勢にならずに、ローアングルやハイアングルで撮影できるのは、ありがたいですよね。
流行りの自撮りには対応していないので、自撮り目的の方は別のカメラを検討しましょう。
⑥小型軽量なシステム|レンズが軽い
E-M1はフラッグシップ(最上位機)としては、小型軽量なボディ。
オリンパスのフラッグシップ機で唯一500g以下(質量497g)を実現したカメラです。
E-M1以降は徐々に大型化。
最新のOM-1 mark2は599g。初代E-M1よりも100g以上重くなっています。
E-M1の軽量ボディは本当にありがたく、マイクロフォーサーズでは有名なレンズLUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH.を組合せても、わずか584g。
最近はフルサイズのカメラも小型軽量化が進んでいますが、レンズを含めたシステム全体で考えると、まだまだマイクロフォーサーズの方が有利。
どれくらい有利なのか、実際に見てみましょう。
カメラ+レンズ | 質量 |
---|---|
E-M1 LEICA DG VARIO-ELMARIT 12-35mm / F2.8 ASPH. / POWER O.I.S. | 803g |
SONY α1 FE 24-70mm F2.8 GM II | 1,432g |
Nikon Z8 NIKKOR Z 24-70mm f/2.8 S | 1,715 |
表を見てもらうと、一目瞭然ですね。
フルサイズでは小型軽量と言われるα1と高性能標準ズームレンズ(通称大三元レンズ)と比較しても、E-M1の方が629gも軽量。
システム全体での軽量化。コレこそがマイクロフォーサーズのメリットです。
E-M1はフラッグシップとしての性能を享受しつつ、軽快に写真を楽しむのに最適なカメラではないでしょうか。
マイクロフォーサーズには、「小さくて・軽くて・よく写る」三拍子揃ったレンズも多いので、本当にありがたい!
気になるポイント(デメリット)
満足度が高い初代E-M1ですが、気になるポイントもいくつかあります。
- オートフォーカス性能はやや物足りない|動体撮影は厳しい
- 暗所には強くない
- マイクロフォーサーズとしては大きめ
順番に解説していきます。
①オートフォーカス性能はやや物足りない|動体撮影は厳しい
E-M1は2013年に登場したカメラ。
像面位相差オートフォーカスを採用したモデルではありますが、オートフォーカス性能はやや物足りなさを感じます。
(像面位相差オートフォーカスは常に使用されるわけではなく、一定の条件で動作する)
とは言え、動体撮影をしないのであればオートフォーカスの速度は必要にして十分。
ほとんどストレスはありません。
動体撮影はE-M1の古さを感じさせるポイント。動体撮影が多い方は、最新の機種を選びましょう。
②暗所には強くない
E-M1の気になるポイント2つ目は、高感度性能。
率直に言うと、暗所での画質が良くありません。
上の作例を見ると一目瞭然。
ISO1600ですが、ノイズが発生し色再現性も大幅に低下しています。
夜間に使うのを躊躇してしまうレベルです。
とは言え、夜中に写真を撮るのは稀。
暗所で綺麗に撮りたい場合は、手ぶれ補正を活かし、低ISO感度で撮るなどの工夫が必要です。
被写体ブレ防止のために、感度を下げられない場合はノイズを許容するしかありません
③マイクロフォーサーズとしては大きめ
フラッグシップとしての風格漂うE-M1ですが、マイクロフォーサーズとしては大きめのサイズ。
正直なところ、もう少し小さいと有り難かった。
しかし、悪いことばかりではありません。
E-M1は大型グリップを備えているので、望遠レンズ等の大きなレンズでも安定した撮影が可能。
撮影の快適性を考えると、E-M1のサイズ感は程よい落とし所と言えるかもしれません。
一緒に買うと便利なもの
カメラと一緒に購入すると安心なアクセサリーを紹介。
- SDカード
- 液晶保護フィルム
- 予備バッテリー
①のSDカードは必須(写真を記録するために必要)
②は、持っていると安心なアイテム。カメラを趣味としている人のほとんどが使用しています。
③も、持っていると安心なアイテム。
①SDカード
UHS-IIには対応していないので、UHS-Iタイプを購入しましょう。
(UHS-IIのSDカードも使えますが、UHS-I相当の速度での動作になります)
オススメのSDカードを紹介しておきます。
毎月のAmazonセールで安くなる事が多いため、セールの時に購入するとお得です。
容量は、写真を撮るだけなら64GB以上の容量があれば十分です。
②液晶保護フィルム
カメラは持ち歩くモノ。
カメラだからこそ、液晶保護フィルムは欠かせません。
E-M1の液晶保護フィルムは入手困難なので、液晶サイズが同等のこちらを手に入れましょう。
③予備バッテリー
電池切れになっては写真が撮れません。
そんな時は、予備バッテリーがあれば安心。
E-M1はUSB充電できませんので、予備バッテリーを買っておきましょう。
少し値は張りますが、バッテリーは純正品がオススメです。
(Amazonでは純正品は入手不可になっていました)
まとめ
オリンパスOM-D E-M1初代。
10年間使用してきましたが、今でも活躍しているカメラです。
実は、本ブログのカメラ画像(外観画像)のほとんどは、E-M1初代で撮影したもの。
これを見ていただければ、E-M1初代が今でも通用する画質であることが分かるでしょう。
- 優秀な手ぶれ補正
- 防塵防滴の堅牢なボディ|雨でも快適
- 必要にして十分な画質|防水カメラとしては優秀
- しっかりとしたグリップ
- 可動液晶がチルト式
- 小型軽量なシステム|レンズが軽い
- オートフォーカス性能はやや物足りない|動体撮影は厳しい
- 暗所には強くない
- マイクロフォーサーズとしては大きめ
優秀な手ぶれ補正に堅牢なボディ。
暗所画質やオートフォーカス性能には古さを感じるものの、普段使いではまだまだ現役です。
中古価格も4万円程度と、比較的手に取りやすい価格なのも嬉しいポイント
マイクロフォーサーズの元祖フラッグシップ機。オリンパスOM-D E-M1。
最新機種も良いですが、古くても愛される、そんなカメラを使ってみるのはいかがでしょうか。
E-M1初代は今でも(2024年10月)修理対応されるほど、メーカーから愛されたカメラです。
2024年10月現在、E-M1初代はOM SYSTEM(旧オリンパス)の修理対応可能カメラ(故障内容によっては不可)になっています。
有償ではありますが、故障時にメーカー修理が受けられると言うのもありがたい。
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