言わずと知れたソニーの高級コンパクトデジタルカメラRX100シリーズ。
2024年7月現在、RX100シリーズは第7世代のRX100m7が発売されています。
現行機種はRX100m5AとRX100m7の2つ。
オススメな機種ではあるものの、価格は10万円超えと高価。
気軽に買える価格帯ではありません。
予算をもう少し抑えてカメラを楽しみたい。
そんな方に、ピッタリのカメラがあります。
それは、RX100m3。
現行品ではないため、中古にはなりますが、10万円以下(2024年7月現在)で購入可能。
「少し古いので性能的にどうなの?」という方も多いでしょう。
まずは結論から。
動体撮影をしないのであれば、RX100m3は現在でも十分にオススメできるカメラです。
RX100m3は2014年の販売開始依頼、2024年初め頃まで現役で販売されていたロングセラー機種。
それほど、基本スペックの充実したカメラです。
とは言え、本当に実力があるカメラなのか気になる方もいますよね。
初代RX100から最新のRX100m7まで使用してきた私が、RX100m3のメリット・デメリット、作例も含めて紹介します。
- RX100 累計3回
- RX100m3
- RX100m5
- RX100m6
- RX100m7 現在も保有中
RX100m3とは
RX100m3は2014年に発売されたRX100シリーズ3代目のコンパクトデジタルカメラ。
コンデジとしては大型の1インチセンサーを先代から引き継ぎ、新たに24-70mm F1.8-2.8の大口径ズームレンズと搭載することにより、画質を向上させたモデル。
RX100シリーズで初めて、電子ビューファインダー(EVF)やNDフィルターを搭載するなど、基本性能を大幅に強化。
2024年のはじめ頃まで、現役で販売されていました。
現在は生産終了品となっており、中古でのみ購入できます。
RX100m3の作例
RX100m3の作例を見ていきましょう。
広角側24mm、絞り開放F1.8で撮影。
滝の流れを止めるためにシャッタースピードを速めて撮影しています(1/1600秒)。
水のしぶき、岩肌共に実にシャープ。
これで絞り開放というのですから驚きです。
広角側24mm。少し絞り込んでF4での作例。
写真周辺まで、流れることなく綺麗な像を結びます。
24-70mmのレンズを搭載したRX100シリーズは、広角側の画質が特に優秀。
初代RX100(28-100mm)や最新のRX100m7(24-200mm)のレンズも決して悪いわけではありませんが、RX100m3の搭載する24-70mmのレンズは頭ひとつ抜けています。
初夏の尾瀬の風景。
周辺までしっかりと写るのは、言うまでもありません。
荷物を減らしたい登山。
RX100m3のコンパクトさが光ります。
登山中はふと様々な風景を撮りたくなるもの。
ポケットに仕舞えるサイズのRX100m3は、本当にありがたい存在です。
スッと出して、パッと撮る。
気軽なだけでなく、写りの方も高い次元でまとまっています。
葉の散った木々の繊細さから、そのことが伝わるのではないでしょうか。
深みのある、緑と青の描写。
周辺部まで乱れのない描写は、流石と言うほかありません。
RX100m3が採用している裏面照射型センサーは、少し前のセンサー。
高感度はRX100m4以降の積層型センサーに若干劣るものの、低感度ノイズは少なく感じます。
厳密に比較した訳ではありませんので、主観によるところも大きいですが、概ね前述のような傾向に感じています。
空を飛ぶブルーインパルスを撮影。
私はミラーレスカメラに望遠レンズ。広角側はRX100m3で挑みました。
ミラーレスカメラ2台では、荷物は重く、体力も奪われてしまいます。
こういう時こそ、コンパクトなRX100m3の出番。
肝心の写真も、必要にして十分な画質。
本当に小さくて、よく写ります。
広角24mmで撮影。
写真の四隅までしっかり解像。
左右に広がる藤の花の繊細さ。
お見事です。
望遠側70mmで撮影。
望遠側も、写真の周辺部まで安定した描写です。
あいにくの曇り空ですが、庭園の緑がしっかりと表現されています。
池のほとりに咲く花を撮影。
かなりアンダー目の写真ですが、シャドー部にもしっかりと階調が残っており、センサー性能の優秀さが伺えます。
深みのある緑。印象的ですよね。
神社の鳥居を撮影。
赤に映える鳥居が、艶かしい雰囲気を漂わせています。
鳥居の奥、シャドー部の滑らかなトーンが美しいですよね。
ボケ味も非常に素直。
奥に行くに従い、緩やかにボケていく様は、高級レンズのボケ味を彷彿させます。
熊本城を逆光で撮影。
逆光に強いとされるツァイス T*コーティングの採用により、コントラストの低下が大幅に抑えられています。
大口径ズームレンズはゴーストやフレアが出やすいものですが、素晴らしいの一言です。
こちらを警戒する猫を撮影。
手前の葉のボケ味が実に滑らか。
それでいて、中心の猫にはしっかりと像を結びます。
シャープというよりは繊細という表現がしっくりくるかもしれません。
毛の一本一本を丁寧に描き分けるレンズ性能。
高感度ISO1600でこの描写というのですから恐れ入ります。
スペック比較
RX100m3のスペックを紹介します。
歴代RX100シリーズと比較しています。
RX100 | RX100m2 | RX100m3 | RX100m4 | RX100m5 RX100m5A | RX100m6 | RX100m7 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
センサーサイズ | 1インチ | 1インチ | 1インチ | 1インチ | 1インチ | 1インチ | 1インチ |
有効画素数 | 約2020万画素 | 約2020万画素 | 約2010万画素 | 約2010万画素 | 約2010万画素 | 約2010万画素 | 約2010万画素 |
レンズ 35mm換算 | 28-100mm | 28-100mm | 24-70mm | 24-70mm | 24-70mm | 24-200mm | 24-200mm |
ズーム倍率 | 3.6倍 | 3.6倍 | 2.9倍 | 2.9倍 | 2.9倍 | 8.3倍 | 8.3倍 |
開放F値 | F1.8-4.9 | F1.8-4.9 | F1.8-2.8 | F1.8-2.8 | F1.8-2.8 | F2.8-4.5 | F2.8-4.5 |
ファインダー | 144万ドット | 236万ドット | 236万ドット | 236万ドット | 236万ドット | ||
内蔵フラッシュ | あり | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
手ぶれ補正 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | あり |
可動液晶 | チルト (自撮不可) | 180°チルト | 180°チルト | 180°チルト | 180°チルト | 180°チルト | |
NDフィルター | 3段 | 3段 | 3段 | ||||
アクセサリーシュー | あり | ||||||
タッチパネル | 対応 | 対応 | |||||
スマホ連携 | あり | あり | あり | あり | あり | あり | |
USB充電 | microUSB | microUSB | microUSB | microUSB | microUSB | microUSB | microUSB |
低速限界設定 | あり | あり | あり | あり | |||
RAW記録 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 | 対応 |
質量 (バッテリーSD含む) | 約240g | 約281g | 約290g | 約298g | 約299g | 約301g | 約302g |
サイズ | 約102×58×36mm | 約102×58×38mm | 約102×58×41mm | 約102×58×41mm | 約102×58×41mm | 約102×58×43mm | 約102×58×43mm |
価格 | 中古 約4.5万円 | 中古 約5万円 | 中古 約7.5万円 | 中古 約9万円 | 約11.7万円 | 中古 約12万円 | 約16.6万円 |
RX100シリーズの違いを詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ。
RX100m3の良かった点|メリット
RX100m3の良かった点(メリット)を紹介します。
良かった点は以下の6点。
- RX100シリーズ最高画質
- 暗所に強い大口径ズームレンズ搭載|ボケ写真も撮れる
- 自撮り可能なチルト液晶搭載
- 晴天下で便利なファインダーを搭載
- NDフィルター搭載
- 軽量コンパクト|質量290g
①RX100シリーズ最高画質
RX100m3は、24-70mm F1.8-2.8の大口径ズームレンズをRX100シリーズで初めて搭載。
極めて優秀な画質を実現しています。
RX100シリーズは3種類のレンズを採用していますが、RX100m3が採用する24-70mmのレンズが最も高画質。
- 28-100mm F1.8-4.9
- 24-70mm F1.8-2.8 ※MTF曲線公開
- 24-200mm F2.8-4.5
24-70mmのレンズのみ、MTF曲線が公開されています。
MTF曲線は、レンズ評価指標の一つ。ほとんどのコンデジはMTF曲線を公開していません。
MTF曲線を公開しているということは、レンズの性能に自信がある事の裏付け。
RX100シリーズで最高画質を求めるのなら、RX100m3がオススメです。
RX100シリーズ最高画質を求めるなら、24-70mmのレンズを搭載したRX100m3、m4、m5、m5Aがオススメです!
②暗所に強い大口径ズームレンズ搭載|ボケ写真も撮れる
RX100m3は、RX100シリーズの中で最も明るいF1.8-2.8の大口径ズームレンズを搭載しています。
明るいレンズのメリットは大きく2つ。
- 暗所でもノイズの少ない綺麗な写真が撮れる
- ボケを活かした撮影が可能
RX100m3は、明るい大口径レンズを搭載することで、最新機種RX100m7を上回る暗所画質を確保しています。
レンズが同じRX100m4、RX100m5(m5A)と同等の暗所性能です。
また、明るいレンズを活かしてボケ写真を撮ることも可能。
暗所でも安定した画質、さらにはボケ写真も得意。
屋内、屋外、夜間。RX100m3は、どんな状況でも活躍できる安心感があります。
RX100m3はレンズが明るいので、暗いところでもノイズが少なめです。日中から夜間まで安心して任せられます。
最新機種のRX100m7はレンズが暗め。暗所ではノイズが乗りやすいのよね。
③自撮り可能なチルト液晶搭載
ソニーはRX100m2のチルト(可動)液晶を更に改良し、RX100m3では180°チルト可能な液晶を搭載しました。
ローアングルやハイアングルのみならず、自撮りにも大活躍。
RX100シリーズは高級コンデジでありながら、ユーザーフレンドリーな機能も搭載してくれるので、本当にありがたい。
やっぱり、自撮り対応なのは嬉しいよね。
④晴天下で便利なファインダーを搭載
RX100m3は、RX100シリーズで初めて電子ビューファインダー(EVF)を搭載した機種。
直射日光下では液晶が見えにくくなりますが、そんな時でもファインダーがあれば安心です。
真夏の太陽下でも、被写体を確実に捉える事ができます。
最新機種と比較し、ファインダーのドット数が144万ドット控えめですが、構図の確認等には十分。
RX100シリーズでマニュアルフォーカスを使うシーンは限られるので、ファインダーのドット数はあまり気にする必要はないでしょう。
ファインダーはポップアップ式となっているので、使う必要がない時には格納が可能。
嵩張らないので、バッグへの収納もスームーズです。
ポップアップ式のファインダー。考えた人は天才です!
⑤NDフィルター
RX100m3は3段分のNDフィルターを内蔵しています。
RX100m3の最高シャッタースピードは1/2000秒。
明るい日中に絞り開放のF1.8で撮影しようとすると露出オーバー(真っ白な写真)になってしまいます。
そこで活躍するのがNDフィルター。
NDフィルターは光量を落とすフィルターです。
RX100m3の内蔵NDフィルターは約3段分。1/2000秒+NDフィルター=1/8000秒のシャッターと同等の露光量を実現できます。
初代RX100とRX100m2はNDフィルターを搭載していないため、日中に絞り開放F1.8での撮影が困難でした。
RX100m3ではNDフィルターを活用することで、日中においても絞り開放F1.8で撮影可能。
つまり、RX100m3は晴天下でも絞りを開けてボケを活かした写真が可能です。
RX100m4以降の機種は電子シャッターが導入されているため、電子シャッターを用いることで露出オーバーを避けることができます。
NDフィルターのメリットは他にもありますが、長くなるので割愛します。
滝を撮るときに便利くらいに思っておけば十分です。
NDフィルターが必要なら、内蔵ND搭載のRX100m3がオススメです。
・RX100m3以降は、日中でボケを活かした写真が撮れる。
・RX100とRX100m2は、日中にボケを活かした写真撮影が困難な場合がある。
こんな感じの解釈でいいと思うよ!
⑥軽量コンパクト|質量290g
RX100m3は高性能ズームレンズと1インチセンサーを搭載しながらも、質量はたったの290g。
ポケットに入るサイズ感を実現しています。
同じレンズを搭載したRX100m5(299g)よりも若干軽くなっています。
小型軽量なのはコンデジ最大のメリット。
少しでも軽い方がいいですよね。
そんな方には、RX100m3がオススメです。
小さくて軽いのに、本当によく写ります。
RX100m3の気になるポイント|デメリット
RX100m3の気になるポイント(デメリット)について解説します。
気になるポイントは、以下の3点。
- 控えめなズーム域(光学2.9倍)
- タッチパネルがない
- バッテリー持ち
ズームレンジ
RX100m3は24-70mmの2.9倍ズームを採用。
前機種RX100m2(28-100mmの3.6倍ズーム)よりもズーム倍率が控えめなりました。
ズーム域を抑えて高画質を実現しているので、贅沢は言えませんが、もう少しズームが出来たらと思うシーンがあります。
とは言え、レンズ交換式カメラの高性能ズームレンズ(通称大三元レンズ)の焦点距離も24-70mm。
慣れれば意外と何とかなるものです。
RX100m3は約2,000万画素あるので、トリミングで対応するのも一つの手です。
1000万画像で良ければ、99mm相当の画角までトリミングできるよ!
タッチパネル
RX100m3はタッチパネル非対応
これは、ちょっと不便です。
ソニーは、RX100シリーズに中々タッチパネルを搭載しませんでした。
RX100シリーズでタッチパネルを搭載しているのは、RX100m6とRX100m7のみ。
どうしてもタッチパネルが欲しい方は、RX100m6かRX100m7を選択しましょう。
24-70mmのレンズかつタッチパネル対応のRX100シリーズはありません。どうしても、上記組み合わせがいいのであれば、ZV-1を検討してみるのもありです。
その場合はファインダーを諦めるしかありません。
オートフォーカスの速度
RX100m3はコントラストオートフォーカス方式を採用。
オートフォーカスの速度は、決して早くはありません。
2014年当時としては特別遅いわけではありませんが、RX100m5以降の位相差オートフォーカスが搭載された機種と比較すると、その差は歴然。
とはいえ、動体撮影が不要であれば大きな不満はないレベルです。
RX100m5は価格もアップしているので、動体撮影をしないのであればRX100m3の方がコスパ的にGOOD。
一緒に買うと便利なもの
RX100m3と一緒に買うと便利なものを紹介します。
- SDカード
- 液晶保護フィルム
- アタッチメントグリップ|後付グリップ
- 予備バッテリー
①SDカード
RX100m3はUHS-IIには対応していないので、UHS-Iタイプを購入しましょう。
(UHS-IIのSDカードも使えますが、UHS-I相当の速度での動作になります)
オススメのSDカードを紹介しておきます。
容量は、写真を撮るだけなら64GBで十分です。
参考|64GBではJPEGだけで約4200枚、RAW+JPEGで約1700枚ほど記録できます。
Amazonセールで安くなる事があるので、セールに出会った時は買っておきましょう。
Nextorage | Nextorage | SanDisk | |
---|---|---|---|
SDカードタイプ | UHS-I | UHS-I | UHS-I |
商品名 | NF1A128 | NF1A256 | SDSDXXU-064G-GHJIN |
速度 | 読込:100MB/s 書込:80MB/s | 読込:100MB/s 書込:80MB/s | 読込:200MB/s (カメラでは最大読込104MB/s) 書込:90MB/s |
容量 | 128GB | 256GB | 64GB |
価格 | 1,990円 | 3,280円 | 2,425円 |
NextorageのSDカードが最もおすすめですが、最近は在庫切れであることが多いのです。
そんな時は、SanDiskを選びましょう。
②液晶保護フィルム
カメラを落としたりするとモニターに傷が付きます。
よく持ち歩くコンデジだからこそ、液晶保護フィルムは欠かせません。
液晶保護フィルムはソニー純正がオススメ。
私は、タッチパネルの付いていないRX100シリーズは、必ずこちらを買っています(計5回購入)。
③アタッチメントグリップ|後付グリップ
モダンでスタイリッシュなデザインのRX100m3。
グリップ部もシンプルです。
そのため、非常に滑りやすい。
RX100m3を購入してみて、グリップがイマイチだと感じた方は、後付グリップを検討してみましょう。
ソニーから純正の後付グリップが発売されていますので、こちらがオススメです。
私も、RX100シリーズ購入の際は、必ず購入しています(計7回)。
④予備バッテリー
コンデジをメインに使うのならば、予備バッテリーは是非とも手に入れたいアイテム。
バッテリーがなくなっては、写真も撮れません。
転ばぬ先の杖。予備バッテリーの購入をオススメします。
RX100m3はUSB充電ができる反面、充電器は付属していません。
予備バッテリーを購入するなら、充電器もセットになった商品を購入するとお得です。
私は、充電器がセットになったタイプを使用しているよ!
まとめ
RX100シリーズ最高画質に写真撮影の基本機能が充実したRX100m3。
動体撮影は苦手なものの、それ以外はオールラウンドにこなせる実力を持ったカメラです。
- RX100シリーズ最高画質
- 暗所に強い大口径ズームレンズ搭載|ボケ写真も撮れる
- 自撮り可能なチルト液晶搭載
- 晴天下で便利なファインダーを搭載
- NDフィルター搭載
- 軽量コンパクト|質量290g
- 控えめなズーム域(光学2.9倍)
- タッチパネルがない
- バッテリー持ち
2014年発売ということもあり、できない事もあります。
しかし、その機能は本当に必要でしょうか?
必要のない機能にコストをかけるのはナンセンス。
動体撮影を切り捨て、シリーズ最高画質を安価に手に入れる。
RX100m3、お一つ手元にいかがでしょうか。
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