ニコンZfcをしばらく使い込みましたので、レビューしたいと思います。
Zfcはデザインと軽快さの両立したカメラで、メインカメラとしても、サブカメラとしても使える実力を秘めたカメラに仕上がっています。
私は、ニコンZfを使用していますが、頻繁に持ち出すのはzfc。
軽量なカメラボディが、持ち出すハードルを下げてくれる。
Zfcはデザインが好みであれば、初心者にもオススメしたいカメラです。
この記事を読むと、こんな事がわかります。
- Zfcのスペック・外観
- Zfcで撮影した作例写真
- 良かった点(メリット)、気になる点(デメリット)
- 一緒に買うと便利なもの
ニコンZfcとは
ニコンZfcは2021年7月23日に、ニコンから発売されたAPS-Cミラーレスカメラ。
2023年3月3日に新色ブラックを発売。
ニコンのフイルムカメラ「FM2」にインスパイアされたヘリテージデザインを採用し、同社デジタルカメラとしてはニコンDf以来のクラシックな外観を持つカメラとなっています。
Zfcの「c」は、「casual」に使ってほしいというニコンの願いを表しているとのこと。
スペックを2019年発売のニコンZ50と同程度に留めることで、コストを抑えながら外観にも拘ったデザインに仕上げることに成功しています。
ニコンZfcはコストと性能、そしてデザイン。この3点のバランスを見ながら作られたカメラで、価格も含めてカジュアルに写真を楽しみたい人に向いていると言えるでしょう。
ニコンZfcの作例
具体的なレビューに入る前に、Zfcで撮影した作例を見てみましょう。
作例の写真は、カメラの付属レンズ(キットレンズ)であるNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRで撮影しています。
望遠側である50mm(35mm換算75mm)、絞り開放(F6.3)での作例。
飛行機の窓から捉えた富士山の写真です。
中央の富士山は非常にシャープで、キレのある描写。
富士山の周辺に広がる雲からは、見事な立体感を感じとる事ができます。
望遠側である50mm(35mm換算75mm)、絞り開放(F6.3)での作例。
空の微妙なグラデーション表現もお手のもの。
写真の周辺部を見ても、像に大きな崩れはなく、絞り開放から安定した描写に感心します。
広角側である16mm(35mm換算24mm)、絞り開放(F3.5)での作例。
絞り開放(F3.5)から安定した描写力を発揮。
水面からの光の反射を上品にとらえる事で、直線的な岩のラインが引き立って見えます。
周辺減光(写真の周辺が暗くなる現象)が若干あるものの、嫌味なほどではない。
むしろ、適度な周辺減光により、中心の被写体を際立たせる事に一役買っています。
標準域22.5mm(35mm換算34mm)、絞り開放(F4)での作例。
少しアンダー目(暗め)な写真ですが、黒潰れする事なく暗部にもしっかりと階調が残っています。
ダウンジャケットの深みのあるワインレッドの色合いも、いい塩梅。
また、写真中央の松ぼっくりに、立体感を感じます。
この艶のある描写、伝わりますでしょうか。
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRは本当に、すごく良いレンズです。
付属レンズ(キットレンズ)はボケないと言われますが、被写体に近づく事で大きな背景ボケを得ることができます。
望遠側である50mm(35mm換算75mm)、絞り開放(F6.3)での作例。
ISO12800の高感度の写真です。
ISO12800ともなると流石にノイズは出ていますが、ノイズの粒が細かいため悪目立ちしません。
被写体である、マーライオンのような像はしっかりと解像。
ノイズリダクションは最小限に留め、ノイズの粒状感を活かす方がオススメです。
ISO12800でありながら、しっかりと植物の色が残っているのが素晴らしい。
高感度になると色がくすんでくるカメラもある中、Zfcの高感度での色の残り方は感心せざるを得ません。
スペックと外観
スペックと外観を見ていきましょう。
スペック
同クラスの他社カメラとスペックを比較。
マーキング箇所が、優れている項目になります。
EOS R10 | Zfc | α6400 | |
---|---|---|---|
メーカー | キヤノン | ニコン | ソニー |
マウント | RFマウント | Zマウント | Eマウント |
レンズラインナップ | 少ない | 少ない | 多い |
センサーサイズ | APS-C (Canonサイズ) | APS-C | APS-C |
画素数 | 2420万画素 | 2088万画素 | 2420万画素 |
ファインダー | 236万ドット 0.63倍(換算) | 236 0.68倍(換算) | 万ドット0.71倍(換算) | 236万ドット
内蔵フラッシュ | あり | なし | あり |
ボディ内手ぶれ補正 | なし | なし | なし |
自撮り | バリアングル | バリアングル | チルト |
タッチパネル | あり | あり | あり |
スマホ連携 | あり | あり | あり |
USB充電 | USB-C | USB-C | Micro USB |
低速限界設定 | あり | あり | あり |
ボディ質量 (バッテリーSD含む) | 429g | 445g | 403g |
合計質量 (付属レンズ込) | 559g | 580g | 519g |
サイズ | 約123×88×83mm | 約135×94×44mm | 約120×67×60mm |
カラー | ブラック | ブラック・シルバー | ブラック・シルバー |
価格 | 約13.4万円 | 約13.6万円 | 約12.7万円 |
スペックだけ見ると、ソニーのα6400が最も優れています。
ニコンZfは、他社のカメラと比較して、画素数は若干少ないものの、他のスペックは似たり寄ったり。
デザインは三者三様。
- キヤノンは従来の一眼レフスタイル
- ソニーはペンタ部(上のでっぱり)がないモダンなスタイル
- ニコンはクラシカルなスタイル
私は、ニコンZfcのデザインが最も好み。次いで、ソニーα6400です。
ニコンZfc外観
ボディ正面から見ると、クラシカルな外観が目を惹きます。
額のニコンロゴはフイルムカメラ時代のロゴを採用(現在のニコンロゴは斜体)。
向かって左側にはダイヤルが配置されています。
デザイン面を優先したためか、グリップはありません。
ファインダー窓は丸型を採用。
丸窓はわかる人にはわかる嬉しいポイントです。
(ニコンは上級機のみに丸窓を採用していた過去があるため)
背面モニターはバリアングル形式を採用。
右上には埋め込み式のダイヤルを配置し、操作性を向上させている所は嬉しいポイント。
バリアングル液晶を裏返すと、モニターを隠す事もできます。
モニターの裏はシボ加工された革調のデザイン。フイルムカメラの雰囲気を味わえます。
上面(軍幹部)には3つのダイヤルを配置。
ISO、シャッタースピード、露出補正の設定を、電源を切った状態でも確認できます。
露出補正ダイヤルとシャッタースピードダイヤルの間にある小窓は、F値の表示用。
フイルムカメラのフイルムカウンターを彷彿させます。
ZfcとZfを並べてみました。
Zfはプレミアムエクステリア張替サービスを利用し、インディゴブルーに変更。
大きさは、Zfの方が一回り大きく、グリップの出っ張りがあります。
ZfとZfcのボタン配置は、瓜二つ。
ZfのサブカメラとしてZfcを使用しても、違和感ないボタン配置はありがたい。
ファインダー部は、両方とも丸窓を採用。
Zfcは横幅が短く、薄型のボディである事が分かります。
また、ダイヤルにも違いがある事が一目でわかるでしょう。
- Zfは真鍮ダイヤル
- Zfcはアルミダイヤル
また、シャッタースピードダイヤルはZfのみ1/8000秒に対応。
ISOダイヤルも若干異なっています。
ZfとZfcの違いを知りたい方は、こちらへ。
ニコンZfcオリーブグリーンの外観|プレミアムエクステリア張替
私は、ニコンZfcをオリーブグリーンに張替えました。
ニコンZfcミッドナイトグレーの外観|プレミアムエクステリア張替
2024年6月22日追記。
その後、ミッドナイトグレーに変更しました。
シックな色合いです。
良かった点(メリット)
ニコンZfcを使っていて良かったことは、以下の6点。
上質なデザインと軽量化なボディ生み出す軽快性は、当にZfcの名に(cはカジュアルの意味)相応しいカメラに仕上がっています。
ニコンZfcの良かった点(メリット)
- 大人心をくすぐる上質なデザイン
- 軽量なカメラボディ
- 優秀なキットレンズによる良好な画質
- テンションの上がるシャッター音
- 写真と動画の切替がワンアクションでできる
- 充電器が付属している
大人心をくすぐる上質なデザイン
Zfcと言えば、クラシカルで洗練されたデザインでしょう。
本当に、デザインは素晴らしいの一言。
カメラ上部(軍幹部)に配置されたアルミ削り出しのダイヤルが、Zfcの上質なデザインを際立たせます。
ダイヤルが、ただの飾りではないのも嬉しいポイント。しっかりと設定を反映させることができます。
マグネシウム合金を身にまとい、カメラ上部を触るとひんやりとした金属の質感が伝わります。
デザインは、カメラの本質ではありません。
しかし、私はカメラのデザインは大事なものであると考えています。
デザインがいいと何がいいのか
- オシャレに見える
- カメラを褒められる
- 街中でも使いやすい
- 撮られる人が威圧感を感じ難い(自然な表情の写真が撮れる)
- 所有する喜びを感じる(自己満足)
軽量なカメラボディ
ニコンZfcのサイズは、特に小さくありません。
見た目は重そうですが、手に持ってみると、その軽さに驚きます。
実際には、ソニーα6400やキヤノンEOS R10よりも重いのですが、手に持った感じは軽く感じる。
『実際の見た目よりも軽く感じる』という表現が、しっくりくるかも。
ニコンからはZfというクラシカルなフルサイズミラーレスカメラが発売されていますが、そちらはボディ単体で710gと重い。
Zfcはボディ単体で445g。
これだけ重さが違うと、Zf、Zfcの両方を手にしてもキッチリと使い分けができそうです。
ZfとZfc両方持っていますが、気軽に持ち出すのはZfc。軽さは正義です。
優秀なキットレンズによる良好な画質
作例の箇所に載せた写真は、すべてカメラの付属レンズ(キットレンズ)であるNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRで撮影しています。
このレンズ、すごくいいレンズです。
スペックは至って平凡ですが、その写りには脱帽です。
どの焦点距離でもシャープ。大きなボケ写真や、暗所での撮影は難しいもののそれ以外はオールマイティーにこなせます。
しかも、これだけの写りを見せながら、重さはたったの135g。長さは32mmと小型軽量。
このレンズのためだけにZfcを選んでも良い。そう思わせてくれるレンズです。
唯一の泣きどころは、沈胴式の採用により撮影時の見た目がイマイチな事。
撮影したらレンズを縮める。それさえできれば、Zfcとのマッチングも悪くありません。
テンションの上がるシャッター音
Zfcのシャッター音、非常に好みです。
カメラボディで響く感じで心地よい。
私はニコンZfも使用していますが、Zfcのシャッター音の方が好みです。
写真・動画の切替がワンアクションでできる
Zfcは写真・動画モードの切替がワンアクションでできます。
上の写真のシャッタースピードダイヤル(中心部のダイヤル)の下に、スイッチがあることが見てとれます。
このスイッチを操作することで、写真・動画のモードを瞬時に切替可能。
これが意外と便利で重宝しています。
写真だけでなく、動画も撮る人には嬉しい機能です
充電器が付属
USB充電ができるようになった昨今、専用充電器は省かれる事が多いですが、なんと、Zfcには専用充電器が付属しています。
もちろん、USB-Cによる充電も可能。
家では充電器、旅行先ではUSB充電という使い分けも可能です。実に便利。
ちなみに、2023年10月発売のニコンZfには充電器が付属していませんでした。
気になるポイント(デメリット)
気に入って使っているZfcですが、気になるポイントもありましたので、3点紹介します。
Zfcの気になるポイント(デメリット)
- カメラのバッテリー蓋の質感が物足りない
- グリップ感はもう一歩
- Zfcに似合うレンズが少ない
カメラのバッテリー蓋の質感が物足りない
デザイン性に優れるZfcですが、カメラの質感には疑問を覚える点も。
それは、カメラのバッテリー蓋の質感がイマイチである事。
コストを下げるために、致し方ない点ではありますが、ココも拘って貰いたかった。
とは言っても、バッテリーの蓋を開閉する機会は、そう多くないので、そこまで気にしなくても大丈夫でしょう。
グリップ感はもう一歩
外観を見ると分かるように、右手で持つ部分が平らです。
グリップ部の引っ掛かりが全くないため、グリップ感はよくありません。当然ですよね。
大型レンズとの組み合わせは、グリップ的にも見た目的にも合わないので、小型軽量なレンズ達で攻めたいところ。
しかしながら、クラシカルなデザインを貫くためにグリップを廃したニコンさんには、拍手を贈りたい。
Zfcに似合うレンズが少ない
クラシカルな見た目故に、ニコンZfcに似合うレンズが少ない。
外観を損なわないレンズは、以下の5本。
レンズ名 | マッチング | 35mm換算 焦点距離 | サイズ (長さ) | 質量 | フィルター サイズ | 価格 |
---|---|---|---|---|---|---|
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SE | 42mm | 約43mm | 約160g | 52mm | 約3.7万円 | |
NIKKOR Z 40mm f/2 SE | 60mm | 約45.5mm | 約170g | 52mm | 約3.6万円 | |
NIKKOR Z 26mm f/2.8 | 39mm | 約23.5 mm | 約125g | 52mm | 約6.3万円 | |
NIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VR | 24-75mm | 約32mm (沈胴時) | 約135g | 46mm | 約3.7万円 | |
NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 | 36mm | 約40mm | 約135g | 46mm | 約3.7万円 |
見た目のマッチングを考えると、マッチングが良好な3本レンズを選択したい。
NIKKOR Z 28mm f/2.8 SEと26mm f/2.8は焦点距離が近いため、どちらかを選ぶか迷うところ。
私は、28mm f/2.8 SEを選択しました。
カメラに付属しているレンズ(キットレンズ)であるNIKKOR Z DX 16-50mm f/3.5-6.3 VRは、レンズを短くした場合(沈胴時)の外観は良好なものの、撮影時は少々残念な外観になります。
NIKKOR Z DX 24mm f/1.7は、焦点距離が35mm換算で36mm、外観も及第点。
使いやすい焦点距離、開放F値も1.7と明るくボケを活かした写真も撮れるため、オススメしやすいレンズです。
一緒に買うと便利なもの
ニコンZfcと、一緒に購入すると便利なものを紹介しておきます。
SDカード
ニコンZfcのSDカードタイプは、UHS-I。
UHS-IIには対応していないので、UHS-Iタイプを購入しましょう。
(UHS-IIのSDカードも使えますが、UHS-I相当の速度での動作になります)
オススメのSDカードを紹介しておきます。
毎月のAmazonセールで安くなる事が多いため、セールの時に購入するとお得です。
Nextorage | |
---|---|
SDカードタイプ | UHS-I |
商品名 | NF1A128 |
速度 | 読込:100MB/s 書込:80MB/s |
容量 | 128GB |
価格 | 1,990円 |
容量は、写真を撮るだけなら128GBで十分です。
64GBを薦めたいところですが、オススメのメモリーカードには64GBの商品がないため、128GBを紹介しています。
参考|128GBではJPEGだけで8400枚、RAW+JPEGで約2200枚ほど記録できます。64GBなら半分ほどになります。
液晶保護フィルム
液晶の保護に必要な、保護フィルム。
今回は、ハクバの保護フィルムを選択しました。
Zfcはデザイン面から、カメラを首から下げて歩く事が多いため、液晶保護フィルムは必須です。
保護フィルター
保護フィルターは、レンズへのキズを防ぐためのアイテム。
保護フィルターのメリット
- レンズへのキズ防止
- レンズの汚れ、ホコリ等の付着防止
- レンズがキズつかない レンズ修理費が掛からない
写りへの影響は、ほぼゼロ(逆光時は影響がある場合あり)。
『基本的に保護フィルターを付けておき、影響が出る時のみ外すという運用』がオススメです。
フィルターのサイズは、レンズに合うものを選びます。
例:レンズに『φ46』と表示があれば、46mmのフィルターを選べばOK
私は、ハクバの『XC-PRO エクストリーム レンズガード』を主に使用しています。
まとめ
Zfcはデザインと軽快さの両立したカメラです。
しばらく使い込んでみましたが、Zfcはメインカメラとしても、サブカメラとしても使える実力を秘めたカメラに仕上がっています。
私は、普段ソニーのα9やニコンZfを使用していますが、Zfcは自信を持ってオススメできるカメラです。
クラシカルなデザインを持ちながら、軽量なカメラボディにすることで、ニコンZfとは違った価値を持つ。
ニコンZfにはない魅力が、いっぱい詰まっています。
ニコンZfcは買いなのか?
結論:ニコンZfcは買いのカメラ
- クラシカルなオシャレなデザイン
- 軽量なカメラボディが持ち出すハードルを下げてくれる
- 優秀なキットレンズによる良好な画質
- テンションの上がるシャッター音
コメント