ニコンから待望の新機種、Z50IIが発表されました。
旧機種Z50との違いを知りたい方も多いのではないでしょうか。
一言で言うと、
Z50IIは被写体認識を搭載しオートフォーカス性能を大幅に向上させたモデル
Z50の完成された画質に、最新のオートフォーカスが加わりオールラウンダーなカメラになりました。
その分、犠牲になっているポイントもあります。
- 進化したポイント
- 据え置いたポイント
- 退化したポイント
3つの視点で、Z50IIとZ50の違いを解説します。
残念ながら、Z50IIはZ50の完全上位互換ではありません。
Z50IIを検討している方、Z50と迷われている方は最後までチェックしてみてください。
スペックの違い|Z50とZ50II
詳細な解説に入る前に、まずはスペックの違いを見ていきましょう。
後で詳しく解説しますので、読み飛ばしていただいてもOKです。
Z50 | Z50II | |
---|---|---|
マウント | Zマウント | Zマウント |
センサーサイズ | APS-C | APS-C |
画素数 | 2088万画素 | 2088万画素 |
ファインダー | 236万ドット 0.68倍(換算) | 236万ドット 0.68倍(換算) |
内蔵フラッシュ | あり | あり |
ボディ内手ぶれ補正 | なし | なし |
自撮り | 180°チルト | バリアングル |
タッチパネル | あり | あり |
被写体認識 | なし | あり |
スマホ連携 | あり | あり |
USB充電 | microUSB | USB-C |
低速限界設定 | あり | あり |
ボディ質量 (バッテリーSD含む) | 450g | 550g |
合計質量 (付属レンズ込) | 585g | 685g |
サイズ | 約127×94×60mm | 約127×97×67mm |
カラー | ブラック | ブラック |
発売年 | 2019年 | 2024年 |
価格 | 約12.3万円 ※ディスコン | 約13.1万円 |
Z50II最大の進化ポイントは、被写体認識に対応したこと。
センサーは据置のため、画質に大きな変化はありません。
逆に質量は100g増していますので、軽量ボディを選びたい方はZ50もありです。
進化したポイント
Z50IIの進化したポイントを解説します。
- ミニZ6IIIのような外観に変更
- オートフォーカス性能が大幅に向上|被写体認識にも対応
- ファインダーが明るくなった|明るさ2倍
- 高速SDカードUHS-IIに対応
- 可動液晶が変更|チルト→バリアングル
- USB充電がUSB-Cに対応
- フレキシブルカラーピクチャーコントロールに対応
- 動画機能の向上
①ミニZ6IIIのような外観に変更
Z50IIは、Z6IIIを小さくしたような外観に変更されました。
ファインダー部も、直線を基調とした統一感のあるデザイン。
グリップも大きくなり、ガッチリした見た目になりました。
デザインに関しては、好みにもよりますが、私はZ50IIの方が好みです。
初代Z50はどこか垢抜けない感じでしたが、Z50IIは精巧なデザインに変更!この路線のデザインは歓迎です。
②オートフォーカス性能が大幅に向上|被写体認識にも対応
ニコンZ50IIは、同社のAPS-Cカメラとして初めて、画像処理エンジンEXPEED 7を搭載。
被写体認識にも対応し、オートフォーカス性能が大幅に向上しました。
EXPEED 7はニコンの最上位機種Z9にも搭載された画像処理エンジンで、私の使用しているZfにも採用されています。
一世代前のZ50では、他社に遅れをとっていたオートフォーカス性能ですが、Z50IIでは肩を並べられる程に進化。
Z50IIはオートフォーカス性能の大幅な向上により、初心者から上級者まで、様々な人にオススメできるカメラに進化しました。
EXPEED 7を採用したZfのオートフォーカス性能もかなりハイレベル。同じエンジンを搭載したZ50IIのオートフォーカス性能も期待できます。
③ファインダーが明るくなった|明るさ2倍
Z50IIは、ファインダーが明るくなりました。
Z50の約2倍の明るさ。
この明るさにより、晴天の屋外でもファインダー内をしっかり確認でき、快適に撮影することができます。
スマホを晴天下の屋外で見ると、画面が見えにくくなることがあります。これは、太陽の光よりもスマホから出る光が小さいから。端的に言えば、画面が暗いからです。画面を見やすくするには、スマホの画面を明るくすればいい!
ファインダーも同じように考えてOK 。ファインダーが暗いと、ファインダーと目の間に入り込んだ太陽光に負けて、被写体が見えにくくなります。ファインダーを見やすくするには、ファインダーの中(ファインダー内部の液晶の輝度)を明るくすればいいのです!
あまり注目されないファインダーの明るさですが、快適な撮影には必要不可欠な要素。
Z50IIのファインダーは、撮影の気持ちよさを向上させ、撮影体験の向上に一役買っています。
「ニコンはファインダーを大切にしているメーカーなんだな〜」と言うことがひしひしと伝わってきます。
④高速SDカードUHS-IIに対応
Z50IIは高速SDカードUHS-IIに対応しました。
UHS-IIの採用により恩恵を受けるのは、連続撮影枚数。
今までは、連写をするとすぐにバッファ詰まりを起こし、連写できなくなっていました。
今回は高速SDカードを採用したことにより、バッファ詰まりからの回復(連写できなくなってから再度撮影できるまでの時間)が早くなっています。
連写速度は変わりませんが、連写できる枚数が向上しています。
徒競走で言えば、
- 連写速度=スピード
- 連続撮影枚数=体力
Z50IIはスピードは同じですが、体力が向上し長距離を走れる(より多くの時間連写できる)ようになりました。
また、体力がゼロ(連写不可の状態)からの回復も早くなっています。
Z50IIは飛躍的に向上したオートフォーカス性能も含め、連写の多い動体撮影にもしっかり対応できるように進化しています。
やっとUHS-IIに対応しました。連続撮影枚数に直結するので、このアップデートは素直に嬉しいです。
⑤可動液晶が変更|チルト→バリアングル
Z50IIはバリアングル式の可動液晶を採用。
初代Z50のチルト式から変更されています。
Z50では三脚撮影時には、液晶画面と三脚が干渉し、自撮りできませんでした。
Z50IIではバリアングル式に変更されたため三脚撮影時でも自撮りが可能。
チルト式とバリアングル式は一長一短。
優劣はつけられませんが、大きな変更点ですので、しっかりとチェックしておきましょう。
⑥USB充電がUSB-Cに対応
Z50IIは待望のUSB-Cに対応しました。
Z50でもUSB充電はできましたが、Micro USB。
Z50IIはUSB-Cに対応したことで、スマホ等とケーブルが統一できるのは嬉しいポイントです。
⑦フレキシブルカラーピクチャーコントロールに対応
Z50IIはAPS-Cカメラとして初めて、フレキシブルカラーピクチャーコントロールに対応しました。
フレキシブルカラーピクチャーコントロール?聞き慣れない言葉ですよね。
パソコンで使えるニコンの無料ソフトウェアNX Studioを使用し、あらかじめ自分好みのプリセット(絵作りの設定)を作り、それをカメラにダウンロードすることで、最初から自分好みの絵作りで写真が撮れる機能。
どのようなメリットがあるのか、会話形式で解説します。
従来:写真撮影 → 編集ソフトで好みの絵作りに仕上げる
本機能:好みの絵作りを設定 → 写真撮影
逆の順番で、同じ写真が再現できるよ〜
順番が変わっただけ?凄い機能なの?
写真を撮るとき、まず最初に見るのはカメラのファインダーや液晶。そこに表示される写真が、自分好みの絵作りだとしたら?
「いい写真が撮れた〜」ってテンションが上がりそう!
それを狙った機能なんだ!
撮影体験の向上に寄与するフレキシブルカラーピクチャーコントロールですが、設定にはパソコンが必要です。
ニコンの無料ソフトウェアNX Studioをダウンロードして、好みの絵作り設定ができます。
パソコンが必要な分、少し敷居の高い機能かもしれません。
⑧動画機能の向上
Z50IIでは動画機能が向上しました。
動画機能の解説はサクッと行きたいと思います。
- 5.6Kオーバーサンプリング4Kに対応
- 4K60pに対応(Z50は最大4K30p)
- カメラボディ全面に録画時に点灯するLEDを配置
- ログ撮影に対応
- 商品レビューモード
動画機能は、Z50IIで大きく進化。
ログ撮影にも対応したので、動画のカラーグレーディング(色編集)をしたい方にとっては嬉しいポイントではないでしょうか?
動画にあまりこだわりがない方は、「より綺麗に滑らかな動画が撮影できるようになった」と捉えてもらえればOKです。
据え置いたポイント
次に、据え置いたポイントについて解説します。
撮影に関係する3点をピックアップしました。
- センサー据置|画質は変わらず
- ファインダー倍率・ドット数
- ボディ内手ぶれ補正なし
①センサー据置|画質は変わらず
ニコンZ50IIは、有効画素数2,088万画素のAPS-Cセンサーを搭載。
Z50と同じセンサーを採用しています。
センサーが据え置きのため、根本的な画質は変わりません。
しかし、画像処理エンジンがアップグレードされているため、JPEGオンリーの人であれば多少の画質向上の恩恵に預かれるかもしれません。
ニコン公式で、画質向上に言及していないところを見ると、画質に関してはZ50と大きな変化はないと考えておいた方が良いでしょう。
とは言え、Z50の頃から写真画質は非常に優秀。
Z50IIの画質が気になる方は、同じセンサーを搭載したZ50、Z30、Zfcの写真作例を参考にしてみてください。
Zfcの作例は、以下のレビュー記事内に掲載しています。
②ファインダー倍率・ドット数
Z50IIはファインダーの輝度(明るさ)は向上したものの、ファインダー倍率とドット数には変更がありませんでした。
屋外での視野性は大幅に向上したものの、ファインダーの大きさと精細さは据え置き。
Z50の頃から、比較的見やすいファインダーでしたので、それが維持されたと思えば悪い選択ではないでしょう。
③ボディ内手ぶれ補正なし
Z50IIは、ボディ内手ぶれ補正が非搭載。
Z50IIに限らず、ニコンAPS-Cカメラにはボディ内手ぶれ補正が搭載されていません。
ボディ内手ぶれ補正は、どんなレンズでも手ぶれ補正効果が得られる反面、カメラのサイズが大きく・重くなります。
小型軽量さを重視するAPS-Cですから、ボディ内手ぶれ補正非搭載は懸命な判断だと思います。
ニコンのAPS-C専用レンズは、NIKKOR Z DX 24mm f/1.7を除いてレンズ側に手ぶれ補正機構が搭載されています。
そのため、ほとんどの方は気にしなくてもOKです。
退化ポイント
最後に、退化したポイント。
世の中では、進化したポイントばかりに目が行くもの。
初代Z50の方が優れている面もありますので、しっかりとチェックしておきましょう。
- 重くなった|100g増
- サイズが若干大きくなった|高さ3mm増
①重くなった|100g増
Z50IIは質量550g。
Z50の450gから、100g重くなりました。
当社比22%の質量アップですから、かなり重くなったと言えます。
Z50の売りであった、小型軽量ボディが完全にスポイルされています。
オートフォーカス性能は飛躍的に向上しましたが、売りである小型軽量さが失われたのは非常に残念。
Z50とZ50II。根本的な画質は変わらないので、小型軽量さを優先するのであればZ50もありです。
②サイズが若干大きくなった|高さ3mm増
Z50IIはサイズが若干大きくなっています。
特に注意したいのが高さ方向。
3mm高くなっています。
たった3mmではありますが、バッグへのスムーズな出し入れには多少なりとも影響します。
Z50IIは若干大きくなった。ここはしっかりと押さえておきましょう。
まとめ
新機種Z50IIとZ50の違いを解説しました。
最後に、簡単にまとめます。
- ミニZ6IIIのような外観に変更
- オートフォーカス性能が大幅に向上|被写体認識にも対応
- ファインダーが明るくなった|明るさ2倍
- 高速SDカードUHS-IIに対応
- 可動液晶が変更|チルト→バリアングル
- USB充電がUSB-Cに対応
- フレキシブルカラーピクチャーコントロールに対応
- 動画機能の向上
- センサー据置|画質は変わらず
- ファインダー倍率・ドット数
- ボディ内手ぶれ補正なし
- 重くなった|100g増
- サイズが若干大きくなった|高さ3mm増
Z50IIはオートフォーカス性能で飛躍的な進化を遂げましたが、サイズが大きく・重くなりました。
Z50の完全上位互換ではありません。
両機種の特徴を理解した上で、自分に最適なカメラを選んでください。