Zマウントレンズ唯一のパンケーキレンズ「NIKKOR Z 26mm f/2.8」。
- F2.8の広角レンズで7万円は高すぎる
- 広角レンズは安価なNIKKOR Z 28mm f/2.8で十分
といった不当な評価を受けています。
2年間使った正直な感想は「7万円分の価値は十分にある」ということ。
軽くて薄いのはもちろんのこと、NIKKOR Z 28mm f/2.8とは比較にならないほど高画質。
実際にNIKKOR Z 28mm f/2.8 SEも所有していましたが、あまりの画質差に28mm f/2.8は手放してしまいました。
ニコンの本気が感じられるパンケーキレンズの最高峰「NIKKOR Z 26mm f/2.8」を作例も交えながらレビューしていきます。
スペック比較
| Z 26mm f/2.8 | Z 28mm f/2.8 | |
|---|---|---|
| 焦点距離 35mm換算 | 26mm (APS-C使用時39mm相当) | 28mm (APS-C使用時42mm相当) |
| 開放F値 | F2.8 | F2.8 |
| 手ぶれ補正 | なし | なし |
| フルサイズ対応 | 対応 | 対応 |
| サイズ(長さ) | 約23.5mm | 約43mm |
| 材質 | 金属 | プラスチック |
| 質量 | 約125g | 約155g (SE版は約160g) |
| 価格 | 約6.4万円 | 約3.3万円 (SE版は約3.7万円) |
よく比較対象に登る、NIKKOR Z 28mm f/2.8と比較してみましょう。
質量・サイズ感はNIKKOR Z 26mm f/2.8が優秀。
材質には金属が用いられており、質感も明らかに良いと感じます。
価格はNIKKOR Z 28mm f/2.8が3万円ほど安価。
NIKKOR Z 26mm f/2.8のサイズ感と描写性能に、価格差3万円の価値があるのかが鍵になります。
良かった点(メリット)

NIKKOR Z 26mm f/2.8の良かった点(メリット)は、次の5つ。
- 軽い。そして薄い。
- 絞り開放からシャープな描写
- レンズの質感が高い
- オートフォーカス速度が思ったよりも速い
- フルサイズでもAPS-Cでも使いやすい画角
①軽い。そして薄い。

NIKKOR Z 26mm f/2.8を語る上で、欠かせないのが軽さ。
Zマウント最軽量の125gを誇ります。
比較対象に上がるNIKKOR Z 28mm f/2.8 SEよりも35g軽いのです。

軽いだけでなく、薄いのも嬉しいポイント。
わずか23.5mmの厚さは、まさに圧巻のサイズ感。
「フルサイズカメラをポケットに」とはいかないものの、携帯性が抜群に良いのです。
バッグへの出し入れもスムーズ。
被写体への威圧感も少ないので、自然な表情をとるのにも役立ちます。

非常にコンパクトなレンズですから、APS-CセンサーのZfcに装着してもこのサイズ感。
ZfとZfcのために開発されたレンズと言っても過言ではないほど、ベストなマッチングです。
②絞り開放からシャープな描写

NIKKOR Z 26mm f/2.8は絞り開放から、非常にシャープな像を結びます。
中心部の解像力は極めて高く、Sラインの高級レンズにも引けを取りません。
四隅は絞り開放で若干コントラストの低下が見られるものの、絞れば周辺まで安定した描写を見せてくれます。
とはいえ、これは厳しい目で見た場合の話。
SラインのNIKKOR Z 24-70mm f/4より周辺画質は良好ですので、光学性能で不満を感じることはありません。

開放F値は2.8ですので、大きなボケを狙えるレンズではありません。
しかし、撮れた写真をみるとリアリティを感じる描写。
ピント面をシャープに捉えるレンズだからこそ成し得た表現に、感心するばかりです。

NIKKOR Z 28mm f/2.8とよく比較されますが、光学性能はNIKKOR Z 26mm f/2.8の方が優れています。
NIKKOR Z 28mm f/2.8は、オールドレンズのような柔らかい描写。
絞り開放からシャープな描写を求める方は、NIKKOR Z 26mm f/2.8を選択しましょう。
③レンズの質感が高い

NIKKOR Z 26mm f/2.8はレンズ鏡筒に金属を採用。
樹脂で構成される28mm f/2.8や40mm f/2よりも、明らかに質感の高いレンズに仕上がっています。
レンズマウント部にも金属が用いられており、耐久性の面でも安心。

レンズキャップは被せ式を採用。
通常のレンズキャップと異なり、高級感を感じる仕上がりになっています。
価格が高いだけのことはあり、ビルドクオリティは非常に優れている印象です。
④オートフォーカス速度が思ったよりも速い
NIKKOR Z 26mm f/2.8は画質を優先し、レンズ駆動に全軍繰り出し式を採用しています。
レンズ全群を動かしてフォーカスさせるため、フォーカス速度面で不利です。
さぞ遅いのかと思いきや、意外と早いのです。
フォーカス駆動音はするものの、速度そのものは結構早い。
子供の走る速度には楽々ついていけますし、至近距離で動き回る子供にも追いつけるほどのフォーカス速度です。
フォーカス速度は覚悟して購入しましたが、全くの杞憂に終わりました。
大三元レンズ(超高級レンズ)ほど速くはありませんが、普段使いにおいては問題となるケースは少ない印象です。
⑤フルサイズでもAPS-Cでも使いやすい画角
NIKKOR Z 26mm f/2.8はフルサイズカメラでは、26mmの広角レンズとして機能します。
26mmの焦点距離といえばiPhone。
iPhoneの標準レンズ(1倍レンズ)と同じ画角ですので、非常に使い勝手が良いのです。

APS-Cカメラで使うと、39mm相当の標準画角になります。
広すぎず、狭すぎない収まりの良さ。
程よい距離感で被写体をクローズアップするのに便利な画角です。

コンパクトなサイズ感も相まって、APS-Cでも積極的に使っていきたいレンズです。
しろZfcとの組み合わせればルックスも完璧ですよ!
気になる点(デメリット)


NIKKOR Z 26mm f/2.8の気になる点(デメリット)は、次の3つ。
- 動画には不向きなオートフォーカスの駆動音
- 周辺減光が大きい
- 保護フィルターを直付けできない
①動画には不向きなオートフォーカスの駆動音
NIKKOR Z 26mm f/2.8は画質を優先した、全軍繰り出し式のフォーカス駆動を採用。
オートフォーカス動作時に音が発生します。
オートフォーカスの度に駆動音が発生するので、動画撮影には向いていません。
動画撮影をしたい方は、素直に他のレンズを購入しましょう。
動画向きの安価な広角レンズは、NIKKOR Z 28mm f/2.8。
オートフォーカスの駆動音がほとんどなく、フォーカスブリージングも目立たないため動画用としては優秀なレンズです。
②周辺減光が大きい
NIKKOR Z 26mm f/2.8は絞り開放F2.8での周辺減光が大きめです。
F4まで絞ると大きく改善しますが、F5.6以降は絞りによる改善はほとんど見られません。
近景よりも遠景で目立つ傾向にあるため、風景を撮影する時はしっかりと絞って撮影しましょう。


レンズの欠点として語られる周辺減光ですが、悪いことだけではありません。
中央への視線を誘導する効果があるので、うまく使えば被写体を際立たせることができます。
とはいえ周辺減光が好みでない方もいますよね。
気になる場合は、カメラのヴィネットコントロール機能を使って補正するのがオススメです。
③保護フィルターを直付けできない
NIKKOR Z 26mm f/2.8は保護フィルターを、レンズに直接付けることができません。
フィルターを装着するには、レンズフードを取り付ける必要があります。


フードを装着したルックスも悪くはありませんが、せっかくの薄さがスポイルされてしまいます。
「保護フィルターは直付け可能にして欲しかった」というのが正直なところです。
とはいえ、フィルター枠を廃したことで実現できた薄さ。
私も開発陣の意思を尊重し、保護フィルター・レンズフードなしの最薄状態で運用しています。
本当に薄くて快適です。
まとめ
- 軽い。そして薄い。
- 絞り開放からシャープな描写
- レンズの質感が高い
- オートフォーカス速度が思ったよりも速い
- フルサイズでもAPS-Cでも使いやすい画角
- 動画には不向きなオートフォーカスの駆動音
- 周辺減光が大きい
- 保護フィルターを直付けできない
コンパクトさと高画質を両立した「NIKKOR Z 26mm f/2.8」。
- F2.8の広角レンズで7万円は高すぎる
- 広角レンズは安価なNIKKOR Z 28mm f/2.8で十分
との評価を受けている本レンズですが、実際に2年間使ってみると私には手放せないレンズになりました。
コンパクトで写りを犠牲にしたレンズは多くあります。
しかし、描写とサイズの両方を高次元で両立したレンズはほとんどありません。
パンケーキレンズの最高峰「NIKKOR Z 26mm f/2.8」。
Sラインと肩を並べる写りに、きっと魅了されるはずです。







