ミラーレスカメラ全盛期に古い一眼レフカメラを導入しました。
導入したのはニコンD60。
CCDセンサーを搭載したオールド一眼レフカメラです。
価格はレンズ込みで1.5万円。
導入理由は、3つ。
- CCD由来のノスタルジックな描写に惹かれた
- 光学ビューファインダーによる撮影体験
- 安い(レンズ込みで1.5万円〜)
ニコンD60は便利なカメラではありません。むしろ大変に不便なカメラ。
それでも、私はニコンD60を購入して良かったと感じています。
ノスタルジックな写りと光学ビューファインダーによる撮影体験
これこそがニコンD60の魅力です。
しばらく使い込みましたので、ニコンD60を徹底的にレビューします。
- 作例
- 良かった点(メリット)
- 気になる点(デメリット)
全てお伝えしますので、オールド一眼レフカメラを検討している方は、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
作例
ニコンD60で撮影した作例を紹介します。

CCDセンサー由来の発色の良さは、ニコンD60でも健在です。
空の青に、電線と鳥のシルエットが映える一枚。
今時のセンサーと比較するとダイナミックレンジは決して広くはありません。
しかし、その制約を逆手に取ったような絵作りこそが、D60の面白さです。
絵としては「悪くない」どころか、むしろ魅力的。
古いカメラながら、しっかり煮詰められた絵作りに感じます。

ぐんぐんと育つ田んぼの稲。
忠実というよりは、むしろ絵画的といった方がしっくりくる描写です。
実際の見た目はもう少し黄色みが強いのですが、D60が捉えた色表現もなかなか魅力的。
最近のホワイトバランスの優秀なカメラでは、まずお目にかかれない表現でしょう。

こちらは、D60最高感度ISO1600。
古いカメラだけに暗所はやや苦手ですが、ISO1600でも十分に使える印象です。
色のりも十分ですので、思い出を残すには十分な描写。
それにしてもこのレンズ(AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED)、良い描写をします。
価格は中古で6000円ほど。
D60を手に入れたのなら、まず初めに体験して欲しいレンズです。

ひっそりと咲く紫陽花。
しっとりとした紫陽花の質感が見事に表現されています。
やはりCCDセンサーは発色が良いですね。

空を見て、慌ててシャッターを切った一枚。
ピントは若干甘いものの、その場の雰囲気を封じ込めたかのような写り。
濃い色味ながらも、グラデーションも犠牲になっていません。
2008年のカメラでありながら、絵として成立していることに改めて感心させられます。
良かった点(メリット)

ニコンD60の良かった点(メリット)を紹介します。
- CCDセンサーによるノスタルジックな写り
- 光学ビューファインダーによる撮影体験
- 安価に楽しめる|レンズ込みで1.5万円〜
- シャッタースピード低速限界設定が可能
- 一眼レフの中では比較的コンパクト
- 記録メディアがSDカード
- しっかりと握り込めるグリップ
①CCDセンサーによるノスタルジックな写り

D60は、有効画素数1020万画素のCCDセンサーを搭載。
現代のCMOSセンサーと比較して、発色が良いのが特徴です。
色のりの良い特徴的な絵作りは、現代のシャープな写真と異なりノスタルジックな雰囲気を感じることができます。
②光学ビューファインダーによる撮影体験

D60は光学ビューファインダーを搭載。
光学ビューファインダーによる撮影体験が魅力です。
レンズを通った光をミラーやプリズム等で反射させ、被写体をファインダーに映し出す仕組み。液晶等を一切挟まないため、リアルなファインダー像を見ることができます。
ファインダーごしに液晶を見る電子ビューファインダーと異なり、(ミラー等で反射した)被写体をリアルに捉えることが可能です。
光学ビューファインダーによるリアルな撮影体験。
これだけでも、ミラーレスカメラではなく一眼レフカメラのD60を使う価値があります。
便利に使うならミラーレスカメラですが、撮影体験の楽しさなら一眼レフカメラのD60も負けていません。
③安価に楽しめる|レンズ込みで1.5万円〜
D60は2008年発売のカメラですので、新品での販売は終了しています。
購入は中古のみとなりますが、価格が非常に安いのです。
ボディのみなら、1万円以下。
レンズを含めても1.5万円ほどで揃えることができます。
最近のミラーレスカメラが15万円程度であることを考えると、目を見張る安さ。
「買う理由が値段ならやめておけ」とよく言われますが、D60は価格以外も魅力的なカメラです。
お小遣いでも買える金額ですので、ちょっとした楽しみに一眼レフを導入してみるのもありではないでしょうか。
④シャッタースピード低速限界設定が可能
ニコンD60は古い機種にも関わらず、ISOオート時にシャッタースピード低速限界設定が可能です。
予め設定したシャッタースピードを下回らない様にISOを自動で調整する機能
→被写体がブレることなく、出来るだけ綺麗な画質で撮る事ができる
被写体ブレを抑えて撮影するのに便利な機能ですので、非常にありがたい。
ISO感度の上限はISO1600、低速限界設定も最短1/125秒ですから現代と比べると若干見劣りしますが、設定できるだけでも大したもの。
2008年のカメラにこの機能が搭載されていることに、驚きを隠せません。
⑤一眼レフの中では比較的軽量コンパクト
D60の質量は495g(バッテリーSDカード除く)。
一眼レフの中では比較的軽量コンパクトです。
大きくて重いカメラは、それだけで持ち出す機会が減りがち。
だからこそ、この軽さはありがたいポイントです。
⑥記録メディアがSDカード

D60の記録メディアはSDカード。
古いカメラは記録メディアがCFカード(通常コンパクトフラッシュ)であることも多いので、ありがたいポイント。
SDカードはSDHC規格まで対応していますので、最大で32GBのSDカードが使えます。
それより容量の大きいSDXCには対応していませんので、必ず32GB以下のSDカードを購入しましょう。

⑦しっかりと握り込めるグリップ

D60は、しっかりと握り込めるグリップを採用しています。
そのおかげで、実際に握ってみると見た目以上に軽く感じます。
私の愛用しているレンズ(AF-S DX Zoom-Nikkor 18-70mm f/3.5-4.5G IF-ED)は390g。
APS-C専用レンズとしてはやや重めですが、D60とのバランスは良好です。
大きめのレンズを装着しても違和感なく使えるのは、実際に使ってみて分かるD60の良さです。
気になる点(デメリット)

ニコンD60の気になる点(デメリット)を紹介します。
- ミラーレスカメラと比較すると大きい
- オートフォーカスポイントが3点しかない
- 便利機能は全くない
- 故障したら修理できない
①ミラーレスカメラと比較すると大きい


一眼レフカメラとしては軽量コンパクトなD60。
とはいえ、ミラーレスカメラと比べるとやや大きいと感じます。
上の写真は、ミラーレスカメラNikon Zfcとの比較。
厚みが全然違いますよね。
軽量コンパクトなカメラをお探しの方は、ミラーレスカメラが最適。
特に、軽くて・オシャレで・よく写るニコンZfcがオススメです。
②オートフォーカスポイントが3点しかない
D60のオートフォーカスポイントは、たったの3点。
最新機種のニコンZ50IIは231点ですから、その差は歴然です。。
しかし、ここまで少ないと逆に清々しいほど。
中央一点でフォーカスしてから構図を決め、シャッターを切る。
昔ながらの撮影方法を駆使し、写真を楽しみましょう。
コサイン誤差など気にして使うカメラではないのです。
③便利機能は全くない
D60は古いカメラですので便利機能はありません。
- 可動液晶なし
- 顔・瞳認識オートフォーカスなし
- オートフォーカスポイント3点
- 連写3枚(RAW + JPEGの場合)
- スマホ連携なし
- USB充電なし
もう、ないない尽くし。
探せばもっとありますが、このくらいで十分でしょう。
そもそもD60は便利機能を求めて買うカメラではありません。
足りない部分はユーザー側で補う。
それくらいの余裕があってこそ、D60の良さが生きてくるのです。

不便なカメラですが、意外と許せてしまうんですよね。
やはり「古いから仕方ないな」というバイアスもあるのかもしれません。
④故障したら修理できない
ニコンD60は新品での販売は終了。
メーカーの修理受付も終わっているため、故障しても修理することができません。
とはいえ、D60は1万円以下で購入可能。
壊れたら買い直す、という割り切り方がベターです。
現代のカメラ修理代金は安くても1万円以上。
そう考えると、買い直すという選択肢もありではないでしょうか。
外観
ニコンD60の外観を見ていきましょう。
ボディ前面


ボディ前面は非常にシンプル。
向かって左側には大型グリップ。
マウント左側にレンズを外すためのボタンが配置されています。
そのほかには、オートフォーカス補助光ランプとシルバーに輝くD60のプレートのみ。
ボディ背面


ボディ背面。
中央には光学ビューファインダー。
右側にはダイヤルと十字ボタンが配置されています。
ファインダー倍率は0.53倍(35mm換算)の視野率95%。
小さめのファインダーですが、思いのほかクリアに見えます。
ペンタダハミラーであることを考慮すると、意外と優れたファインダーであると感じました。
左側には、メニューや再生ボタンなどを配置。
右手だけですべてを操作することはできません。
このあたりに、D60の古さを感じます。
ボディ上面(軍幹部)


右側にはモードダイヤル。
グリップ上部にはシャッターボタンが配置されています。
右上のボタンは露出補正ボタン。
これを押しながら背面ダイヤルを回すことで、露出(明るさ)の変更が可能です。
ボディ側面




右側面にはSDカードの差込口。
バッテリー室と別なのは嬉しいポイントです。


左側面にはビデオ出力端子とUSB端子を配置。
USBは、かつてハードディスクなどで使われていたmini USB端子です。
ケーブルを繋げば、写真を直接パソコンに転送可能。
古い規格ながら、意外と便利です。
スペック比較
ニコンD60のスペックを比較していきます。
古いカメラですので何と比較するか迷いましたが、ここはあえて最新機種であるニコンZ50IIと比較することにしました。
D60 | Z50II | |
---|---|---|
カメラタイプ | 一眼レフ | ミラーレス |
マウント | Fマウント | Zマウント |
センサーサイズ | APS-C | APS-C |
有効画素数 | 1020万画素 | 2088万画素 |
ファインダー | 光学ビューファインダー 0.53倍(換算) | 電子ビューファインダー 236万ドット 0.68倍(換算) |
内蔵フラッシュ | あり | あり |
ボディ内手ぶれ補正 | ||
自撮り | バリアングル | |
タッチパネル | あり | |
AFポイント | 3点 | 231点 |
被写体認識 | あり | |
スマホ連携 | あり | |
USB充電 | USB-C | |
低速限界設定 | あり 最短1/125秒 | あり |
ボディ質量 (バッテリーSD除く) | 495g | 495g |
ボディ質量 (バッテリーSD含) | 非公開 | 550g |
サイズ | 約126×94×64mm | 約127×97×67mm |
カラー | ブラック | ブラック |
発売年 | 2008年 | 2024年 |
ボディ価格 | 約5千円〜1万円 | 約13.1万円 |
ニコンD60は古いカメラだけあって、勝てる要素が見当たりません。
唯一重さだけは最新機種と同格の495g(バッテリーSDカード除く)。
古い機種の一眼レフですが、意外と小さいのは嬉しいポイントです。
まとめ
- CCDセンサーによるノスタルジックな写り
- 光学ビューファインダーによる撮影体験
- 安価に楽しめる|レンズ込みで1.5万円〜
- シャッタースピード低速限界設定が可能
- 一眼レフの中では比較的コンパクト
- 記録メディアがSDカード
- しっかりと握り込めるグリップ
- ミラーレスカメラと比較すると大きい
- オートフォーカスポイントが3点しかない
- 便利機能は全くない
ノスタルジックな写りと、光学ビューファインダーならではの撮影体験が光るニコンD60。
便利さは微塵もなく、不便なカメラと言っても差し支えないほどです。
それでも、なぜか許せてしまう。
そんな魅力がD60にはあります。
ミラーレス全盛の便利な時代だからこそ、あえて不便でノスタルジックな写りを楽しむ。
それもまた、ひとつの贅沢ではないでしょうか。
ニコンD60は、普段ミラーレスを使っている方にこそ手に取っていただきたい一台です。