近年、デジタルカメラの性能は飛躍的に向上し、高画質で高機能なモデルが数多く発売されています。
一方で、コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)はスマホに押され、今ではその殆どが販売終了に追い込まれました。
そんな中、一方で、10年以上前に発売された、いわゆる「オールドデジカメ」が密かに人気となっています。
私は、今まで123台(2024年11月現在)のカメラを購入し使用してきました。
オールドデジカメも何台か所有しています。
オリンパスXZ-1もその中の一つです。
今は亡きCCDセンサーに、高画質な大口径レンズを搭載。
動作はゆっくりだし、オートフォーカスもじゃじゃ馬。
それでもXZ-1を使っているのは、その写りに魅了されたから。
本記事では、オールドコンデジの名機オリンパスXZ-1の魅力について、作例・メリット・デメリットも含めた上で紹介します。
オリンパスXZ-1とは
オリンパスXZ-1は、2011年にオリンパスから発売された高級コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)です。
広角から望遠まで極めて明るい、F1.8-2.5の大口径ズームレンズ「i.ZUIKO DIGITAL」を初めて採用。
1/1.63型の大型CCDセンサーにより、一眼に迫る画質を実現したカメラです。
一眼レフのサブ機、一眼を購入しないまでも高画質な写真に憧れている層をターゲットとして開発されただけあり、画質に関しては極めて優秀。
2024年現在でも、スマホにはない写真を撮れるカメラになっています。
XZ-1の作例
XZ-1で撮影した作例を紹介します。
望遠側で撮影。
被写体のアサガオはシャープに描写。
背景のボケは非常に滑らか。
柔らかなトーンでありながら、アサガオの濃厚な色合い。いいですよね。
CCDセンサーを採用したこともあり、見事な発色です。
真夏の海岸を撮影。
海の青色が、見事に表現されています。
写真周辺まで、像の流れもなく安定した描写です。
霞がかり、レンズには厳しい条件。
しかし蓋を開けてみれば、この描写。
手前の島は、キッチリ解像しています。
淡めのトーンでありながら、緑色の発色は豊か。
少し不思議な感じではありますが、私は好みの描写です。
発色の良いカメラは、夏が似合いますよね。
この描写力。
もはや説明する必要もないでしょう。
明暗差の大きいシーン。
若干の白飛び、黒つぶれはありますが悪目立ちするほどではありません。
むしろ、2011年の1/1.63インチセンサーとしては十二分な画質ではないでしょうか。
今時の繊細な絵作りとは異なり、メリハリの効いた描写に好感が持てます。
XZ-1のメリットは望遠側が112mmまであること。
警戒ぎみの猫でしたが、XZ-1のズーム機能に助けれれました。
猫の毛並みの描写も、硬くなりすぎず良い塩梅。
この色乗りの良さは、CCDセンサーならではと言ったところでしょうか。
XZ-1はシックな表現も得意です。
CCDセンサーとレンズの相性が良いのでしょう。
湿度感を感じられる濃厚な描写に驚かされます。
望遠側112mm(換算)で撮影。
中心の花はオシベまでキッチリと解像しています。
ボケ味も非常に素直。
色乗りの良さも相まって、絶妙なリアリティを感じる描写です。
換算35mmで撮影。
濃いめの赤が映えますね。
湿度までも感じられそうな描写。
暗部は黒つぶれしていますが、これはこれでバランスの良い階調表現ではないでしょうか。
本当に良い仕事をしています。
オリンパスXZ-1のスペック
オリンパスXZ-1のスペックを見ていきましょう。
後継機であるXZ-2と比較しています。
XZ-1 | XZ-2 | |
---|---|---|
レンズ (35mm換算) | 28-112mm | 28-112mm |
開放F値 | F1.8-F2.5 | F1.8-F2.5 |
ズーム倍率 | 4倍 | 4倍 |
センサー | 1/1.63型CCD | 1/1.7型COMS |
有効画素数 | 約1000万画素 | 約1200万画素 |
フラッシュ | あり | あり |
手ぶれ補正 | あり | あり |
モニター | 固定 約61万ドット | チルト式 約92万ドット |
タッチパネル | なし | あり |
記録形式 | RAW、JPEG | RAW、JPEG |
サイズ | 約111×65×42mm | 約113×65×48mm |
質量 (バッテリー・SD含) | 約275g | 約346g |
カラー | ブラック ホワイト シャンパンゴールド | ブラック ホワイト |
価格 (中古) | 約3万円 | 約4万円 |
XZ-1の特徴は、CCDセンサーを採用していること。
XZ-2(後継機)と比較して、機能は少ないもののレンズは共通、サイズ感はXZ-1に軍配が上がります。
コンデジのサイズ感を維持しつつ、極限まで描写を高めたXZ-1は後継機にはない魅力を持ったカメラになっています。
XZ-1の外観
XZ-1の外観を見ていきましょう。
XZ-1 前面
XZ-1の前面。
前面にボタンはなく、非常にシンプルなデザイン。
OLYMPUSロゴ以外に、F1.8、HDの表記もありますがデザインに溶け込んでおり、嫌味を感じません。
続いてXZ-1の背面。
右上に録画ボタン、右下にはホイール機能を併せ持つ十字ボタン。
右上の指を置くスペースには滑り止めが配置されています。
この滑り止めが意外と優秀で、グリップ感の向上に一役買っています。
上面(軍幹部)は、電源ボタン、シャッターボタン、モードダイヤルのみとシンプル。
レンズ周りには、ローレット加工を施したコントロールリングが配置されています。
コントロールリングを回すことで、絞り(F値)やシャッタースピード等の設定を簡単に変更するとが可能。
シンプルながらも、操作性も考えられたカメラになっています。
XZ-1の良かった点|メリット
それでは、オリンパスXZ-1の魅力に迫っていきましょう。
XZ-1の良かった点(メリット)は以下の4点。
- 優秀な画質|大型レンズとCCDセンサー
- 日常使いにピッタリなズーム域|28-112mm
- 程よいサイズ感
- 高級感のあるデザイン
順番に見ていきましょう。
①優秀な画質|大型レンズとCCDセンサー
XZ-1は、大口径ズームレンズに(当時としては)大型のCCDセンサーを搭載。
その写りは、2024年現在でも十分に通用するレベルです。
写真の中心画質は当然のこと、周辺部に至るまで破局のない写りに舌を巻きます。
やはり、写真の写りはレンズで変わりますね。
開放F値も小さいので、コンデジでありながらボケを活かした写真も撮影できます。
高感度(暗所)には強くないセンサーですが、レンズが明るいため、ある程度の暗さでも撮影できてしまう。こういう所も、嬉しいポイントです。
CCDセンサー(旧世代センサー)を採用していることもXZ-1の魅力の一つ。
CCDセンサーは、低感度ノイズが少なく発色が豊か。
ダイナミックレンジが狭い(明暗差に弱い)反面、コントラストの高いインパクトのある写真が撮影できます。
今時の繊細でシャープな画質とは違い、メリハリの効いたわかりやすい絵づくり。
最新機種のキレのいい描写も好みですが、少しノスタルジーを感じるXZ-1の写真も良いものです。
②日常使いにピッタリなズーム域|28-112mm
XZ-1は、35mm換算28-112mmの4倍ズームレンズを搭載。
使い勝手の良い焦点距離をカバーしています。
特に望遠側でも112mmある点が本当にありがたい。
レンズ好感式カメラ(ミラーレスカメラ等)のキットレンズは、24-80mm前後をカバーしている事が多いですが、日常使いではもう少しズームしたいシーンが多々あります。
XZ-1は112mmまでズームできるため、本当にちょうど良いのです。
更に望遠側の開放F値もF2.5と非常に明るいので、ボケを活かした撮影も可能。
望遠側の描写も安定しているので、安心してズーム機能が使えます。
XZ-1は日常使いにピッタリな焦点距離をカバーし、描写もGOOD。
普段使いにピッタリのカメラです。
③程よいサイズ感
XZ-1は、大口径ズームレンズを搭載したこともあり、コンデジとしては若干大きめ。
しかし、いざ撮影となると、XZ-1のサイズ感はメリットに感じます。
「程よいサイズ感でよく手に馴染む」とでも言いましょうか。
コンパクトなカメラは持ち運びには便利ですが、操作性は決して良くはありません。
XZ-1は、快適な操作性を確保しながら、できるだけコンパクトに仕上げた程よいサイズ感。
「カメラには適切なサイズ感がある」
そんな事を感じさせてくれるカメラです。
④高級感のあるデザイン
XZ-1の魅力は、そのデザイン。
シンプルながらも高級感のあるデザインは、持つ喜びを感じられます。
ボディ前面は、アルミ外装を採用。
上面は、ヘアライン加工をあしらったパネルを配置し高級感を演出しています。
背面は樹脂ですが、上手くいなされており、全体的によくまとまっています。
デザインを追求したカメラとは異なりますが、機能美とでも言いましょうか。
使っていて、嬉しくなるカメラです。
XZ-1の気になるポイント|デメリット
XZ-1を使っていて、気になるポイント(デメリット)は以下の3点です。
- オートフォーカスがゆっくり
- 高感度(暗い所の)画質がイマイチ
- ISOオートが実質オートではない
①オートフォーカスがゆっくり
XZ-1は、2011年に発売されたカメラ。
オートフォーカス速度は、お世辞にも速いとは言えません。
遅すぎるほどではありませんが、近年のカメラを使い慣れている方からすれば「ゆっくりだなー」と感じるでしょう。
オートフォーカスの精度は悪くないので、大きなストレスはありません。
被写体としっかり向き合って写真を撮る。
被写体認識機能が一般的になった今、被写体に向き合う大切さを思い出させてくれるカメラです。
②高感度(暗い所の)画質がイマイチ
XZ-1は、旧世代のセンサーであるCCDセンサーを搭載しています。
低感度画質と発色には優れますが、高感度(暗い所の)画質が良くありません。
個人的には、ISO感度はISO400以下に抑えたいところ。
とは言え、レンズが明るいため意外と高感度にしなくても撮影が可能です。
広角側であればレンズの明るさはF1.8。
暗めの室内であっても、ISO200でシャッタースピード1/50秒程度は確保できます。
ISOを400まで上げれば、1/100秒ほどのシャッタースピードが稼げますので、動体撮影をしないのであれば大丈夫でしょう。
このカメラで動体撮影をする方は非常にまれだと思いますので、そこまで気にする必要はないかもしれません。
③ISOオートが実質オートではない
XZ-1は、ISOオートモードを搭載しています。
写真が適切な明るさを維持できるように、ISO感度をカメラが自動で制御する機能
ISOオートは搭載しているものの、実質オートではありません。
XZ-1の設定可能感度は、ISO100-6400です。
ISOオートモードで撮影すると、カメラが自動でISO感度を選んでくれるのですが、その制御がお世辞にも良いとは言えません。
ISO100-200までは、素直に自動設定してくれます。
問題はこの後。
ISO200以降は、シャッタースピードが1/2秒を切らない様に制御します。
つまり、暗いところでISOオートを使用するとシャッタースピードが必ず1/2秒になってしまいます。
これでは、手ぶれを量産してしまい、画質の良し悪しもあったものではありません。
高感度には強くないセンサー故、意地でもISO感度を上げたくないのでしょう。
Sモード(シャッタースピード優先モード)で使用すれば、この問題は解決できるので、XZ-1で暗所を撮影するときはSモードにして手ぶれしないシャッタースピードに設定しましょう。
XZ-1のISOオート制御は本当に謎仕様です。シャッタースピードを1/2秒を感度アップポイントにする仕様。誰か嬉しい人がいるのでしょうか?
解決方法はありますので、暗い所ではSモードにしましょう。
XZ-1と一緒に買うと便利なもの
XZ-1と一緒に買うと便利なものを紹介します。
- SDカード
- 自動開閉レンズキャップ
①のSDカードは必須。
②の自動開閉レンズキャップ、購入した方が便利なものです。
液晶保護フィルムも欲しい所ですが、大手は販売を終了してしまいました。
①SDカード
XZ-1、オススメのSDカードを紹介しておきます。
古いカメラだけあり、公式ホームページでの動作保証は64GBまでの様です。
容量は、最大でも64GBまでに留めておきましょう。
参考|64GBではJPEGだけで約9999枚以上、RAW+JPEGで約3500枚ほど記録できます。
Amazonセールで安くなる事があるので、セールに出会った時は買っておきましょう。
私は、サンディスクのSDカードExtreme PROの64GBを使用しているよ!
②自動開閉レンズキャップ
XZ-1には、レンズバリアがありません。
レンズを保護するために一眼カメラではお馴染みの、レンズキャップを使用します。
レンズキャップを外す → 撮影 →レンズキャップを付ける
このお作法が必要になります。
正直、面倒です。
実は、この問題を解決する純正アイテム「自動開閉レンズキャップ」が販売されています。
純正なだけあり、見た目はスマート。
電源を入れると下の写真の様になります。
かっこいいとは言えませんが、許容範囲内でしょう。
使い勝手が大幅に向上するので、私は自動開閉レンズキャップありで使用しています。
自動開閉レンズキャップの中古品を探すのは極めて困難です。
別売りを購入すると高つきますので、自動開閉レンズキャップ付きのXZ-1中古品を探しましょう。
まとめ
XZ-1の魅力について、作例、メリット・デメリットを含めて紹介しました。
最後に、内容をまとめます。
- 優秀な画質|大型レンズとCCDセンサー
- 日常使いにピッタリなズーム域|28-112mm
- 程よいサイズ感
- 高級感のあるデザイン
- オートフォーカスがゆっくり
- 高感度(暗い所の)画質がイマイチ
- ISOオートが実質オートではない
XZ-1は古いカメラ、いわゆる「オールドデジカメ」ではありますが、その写りは2024現在でも魅力的。
CCDセンサーと大口径レンズによる独特な写りは、撮り手をハッとさせてくれます。
程よいサイズ感に、程よいズーム域。
オートフォーカスは遅いですが、古いカメラ故に許せてしまう。
XZ-1。本当に良いカメラです。
オールドデジカメを検討している方は、XZ-1を候補の一つに挙げてみてください。
手に入れたのなら、オールドデジカメの底力にハッとさせられる事でしょう。
オールドデジカメは、メーカー修理対応が終了しています。
故障しても修理できませんので、出来るだけ状態の良い個体を選びましょう。
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